宝石に蛇……女装図書館まで! ディープスポット「御徒町」を散策

公開日:2016年4月1日

上野と秋葉原という東京の二大観光地を両隣に持つ「御徒町」。山手線の駅でありながら、JR東日本エリア内の1日平均の乗車人員数は64位(2014年度)と、いまいちパッとしない。有名な観光スポットが少ないことから、ガイドブックでもあまり取り上げられることがない御徒町だが、実は知られざるディープスポットが潜むワンダーランドなのである。

御徒町駅の横にある商店街を歩いていると突如お寺が現れる

御徒町駅の横にある商店街を歩いていると突如お寺が現れる

江戸時代に、武士の種類の一つである「御徒(かち)」が多く住んでいたことに由来する御徒町は、かつて見世物小屋や寄席が軒を連ねる歓楽街だったそう。

上野だけにあらず! 御徒町駅方面にもアメ横が続いている

上野だけにあらず! 御徒町駅方面にもアメ横が続いている

また、御徒町の駅周辺を歩いていると、目につくのが「ダイヤモンド」の文字。銀座とは一線を画す雰囲気の気取らない宝飾店があちらこちらにあり、一大ジュエリータウンを形成しているのだ。ルーツは江戸時代までさかのぼり、仏具や銀器の飾り職人が多かったこと、そして明治の中頃になると、指輪を製作加工する業者が増えたことが始まりといわれている。

ジュエリーショップらしからぬ店構えに妙な安心感を覚える

ジュエリーショップらしからぬ店構えに妙な安心感を覚える

さまざまなグルメも楽しめるのも御徒町の魅力。回らないのに安くておいしい寿司屋や、串カツ屋など庶民的な味がうれしいお店が多い。しかしなかには、二度見してしまいそうな飲食店も。

駅すぐにある文久堂では、ヘビ料理やまむしの生き血が飲める……らしい

駅すぐにある文久堂では、ヘビ料理やまむしの生き血が飲める……らしい

お店の前に鎮座する看板ヘビに会いに行ってみては?

お店の前に鎮座する看板ヘビに会いに行ってみては?

さらに、最近は若者向けのトレンドショップも多く進出している模様。2014年には、創業90年を超えるファミリーデパート「吉池」がリニューアル。また、駅高架下には伝統工芸職人の街だった時代を彷彿とさせる「ものづくり」をテーマとした、ショップ・アトリエ「2k540 AKI-OKA ARTISAN」がある。

「ユニクロ」「GU」や「ユザワヤ」をはじめ老舗洋食レストランなどが入店する吉池

「ユニクロ」「GU」や「ユザワヤ」をはじめ老舗洋食レストランなどが入店する吉池


「2k540 AKI-OKA ARTISAN」には、手仕事の製品を求めて感度の高い人たちが多く訪れる

「2k540 AKI-OKA ARTISAN」には、手仕事の製品を求めて感度の高い人たちが多く訪れる

そして次に訪れたのは、世に図書館は数あれど、おそらく日本では唯一無二の「Teens Trans Library/女装図書館」。公式サイトによると、「女装子(女装する男性)・男の娘・性同一性障害のMtF(生物学的性別が男性で性の自己意識が女性である)・女性の方のためのフリースペース」とされている。希望する人にはメイクや女装を指南してくれるそう。

私設図書館を運営する辰木ひかるさんは、司書資格を持っている

私設図書館を運営する辰木ひかるさんは、司書資格を持っている



女装にまつわる漫画や女性誌など、2000冊ほどが並ぶ

女装にまつわる漫画や女性誌など、2000冊ほどが並ぶ

「出会いの場とかではなく、女装をしたい男子も気兼ねなく寛げる場所を作りたかった」という辰木さん。当館は自宅も兼ねているそうで、開館日は仕事が休みの土日祝日。ちなみに、利用料金は15歳~29歳1000円、30歳以上 2000円。訪れる人から提供してもらったという女子っぽい洋服も約150着そろえており、女装初心者にもさまざまなアドバイスをしてくれる。

取材当日も女装子が集まってリラックスしていた

取材当日も女装子が集まってリラックスしていた

御徒町の魅力について、「色々な人や多様性を受け入れる包容力がある街。とても暮らしやすいと思います」と辰木さん。

メジャーなガイドブックには決して載らないが、ほかの街にはない魅力が溢れる御徒町。ぜひ訪れてみてはいかがだろう。

(佐藤陽子+ノオト)

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