空き巣より怖い!夜家に侵入する「忍込み」の手口とは? すぐできる対策を防災アドバイザーに聞いた

公開日:2013年12月11日

「忍込み」は夜中の就寝時に侵入し窃盗を行う犯罪者

空き巣をするために夜鍵こじ開ける犯人
侵入されないためにも、毎日の施錠は確実に行おう。

就寝時に住居に侵入し、窃盗を行う「忍込み」。留守中を狙って窃盗を行う「空き巣」とは似て非なるもの。寝ている間に侵入されることを想像すると身の毛もよだつほどの恐怖を覚える。この忍込みを未然に防ぐにはどのようにすればいいのだろうか。

今回は忍込みの被害に遭わないようにする具体的な対策について、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんのお話をもとに解説していく。ぜひ防犯対策の参考にしてほしい。

「空き巣」「居抜き」との違いは?

警視庁の調べによると、令和2年の都内における窃盗事件の認知件数は3,149件。そのうち忍込みによる被害件数は9.8%を占めている。10年前に比べると被害件数は減少しているが、対策が進んだ現在も多くの犯罪が発生している。

窃盗はいくつかの種類に分けられている。「空き巣」は住人の留守中を狙って侵入するが、「居抜き」は住人が洗濯している間や、入浴している間を狙って侵入する。対する「忍込み」は、就寝中を狙った犯罪だ。いずれも許しがたい犯罪だが、これらの被害に遭わないためには、どのような対策を取ればいいのだろうか。

「忍込み」の侵入手口は?

まず、「忍込み」の侵入手口にはどのようなものがあるのだろうか。備え・防災アドバイザーの高荷智也さんにアドバイスを伺った。

「主にカギがかかっていない窓や玄関、または窓ガラスを破って室内に侵入してきます。平成25年の警察白書によれば、窓ガラスを破っての侵入は3割、窓やドアのカギのかけ忘れによる侵入は4割を占めています。ピッキングやサムターン回しなどのカギ破りによる侵入に比べると圧倒的に多いんですよね」(高荷さん)

なんと、カギのかけ忘れが大半を占めているとは! ところで忍込みに狙われやすい物件ってあるの?

「2階建て以上の戸建て住宅でしょうか。家族全員が2階で就寝して、夜中に1階が誰もいない状態になる住宅は特に狙われやすいです」(高荷さん)

窓や玄関など、侵入経路は空き巣とさほど変わりはないようだ。無理やりカギを壊して侵入するのではなく、カギがかかっていないところから侵入するケースの方が多いので、普段の戸締りが重要になるといえる。

また、1階建ての住まいではなく、2階建て以上の住まいの方が忍込みの被害に遭いやすい。普段2階にある寝室で寝ているという方は、一度施錠対策を見直してみると良いだろう。

「忍込み」を侵入させないための3つの対策

空き巣に入って現金を盗む犯人
3つの対策で忍込みを防ごう

忍込みから家財を守るには、家に侵入させないための対策が必要である。そこで高荷さんに伺った話をもとに「忍込み対策ポイント」をまとめてみた。

「忍込み」対策①:就寝時は窓とドアのカギを閉める

在宅中はつい気を抜いてしまいがちだが、そのような気の緩みを突いてくるのが忍込みということを忘れないようにしよう。警視庁発表の情報によると、侵入手段の51.4%がカギをかけていない「無締り」の家を狙ったものとなっている。窓とドアのカギを必ず閉めることが防犯対策の大前提となるので、就寝時や入浴前には忘れずに施錠するようにしよう。

「忍込み」対策②:センサーライトを設置する

玄関やバルコニーに、人の動きを感知して光る「センサーライト」を設置しよう。犯人は侵入しようとしているところを人に見られるのを極度に恐れる。

センサーライトが光ることで近隣からの注目が集まるため、犯人がセンサーライトの存在に気づくだけで侵入をあきらめ、退散する可能性もあるので、センサーライトの設置は非常に有効な防犯対策といえる。

「忍込み」対策③:窓の防犯対策を行う

窓のカギは玄関と比べて簡易的なものが多く、侵入に慣れている犯人であれば簡単に壊すことができる。そこで、窓の防犯対策を強化することもおすすめだ。

窓が開いたときに警告音が鳴る装置を付けたり、別のカギを1つ追加したりすることで、防犯性能は格段に上がる。また設置するだけで防犯対策を講じている家だとわかり、犯人に警戒心を与えることもできる。

万が一「忍込み」に侵入された場合の対処方法

ここまでは忍込みを未然に防ぐ対策をお伝えしたが、一通りこなしたとしても侵入を許す可能性はある。万が一「忍込み」の犯人が自宅に侵入した場合、自分や家族の命、大切な資産を守るにはどのようにすべきなのだろうか。

侵入されることを前提とした対策をあらかじめ行うことで、被害を最小限に抑えられる。また、万が一侵入されてしまったときに取る具体的なアクションについて解説していく。

万が一の際の「忍込み」対策①:現金や貴重品は厳重に保管する

現金はもちろん、アクセサリーや貴金属などの貴重品を多く持っている場合は、簡単に見つかりにくい場所で厳重に保管しよう。「タンスの奥」のような典型的な隠し場所ではすぐに見つかってしまう。カギ付きの金庫を用意するなど、保管方法を工夫してなるべく盗まれないようにしよう。

万が一のための「忍込み」対策②:就寝時は携帯電話を枕元においておく

忍込みに気づいたとき、犯人を取り押さえようと立ち向かうのは危険だ。犯人は刃物などの武器を持っているかもしれないし、居直り強盗になるかもしれない。

しかし手元に携帯電話があれば、ベッドから動かず110番に電話して警察に自分の状況を伝えることができる。

「忍込み」の手口を理解し、対策して備えよう

ダンボールを突き破る男性の手
対策すれば忍込みは防げる!

今回は忍込みの主な侵入経路と具体的な防犯対策について解説した。戸建て物件が狙われやすいそうだが、賃貸物件も安心はできない。夏場など窓を開けっぱなしで寝ている人も多いが、忍込みはそのような隙を狙ってやってくることが多い。

ホームセンターやECサイトには数多くの防犯グッズが販売されているので活用すると良いだろう。また、玄関だけでなく窓にも意識を向けて、普段から防犯対策を徹底しておくことが重要だといえる。

万が一「忍込み」の侵入を許したときは、自ら立ち上がって取り押さえようとするのは危険だ。犯人の様子を伺いつつ、手元に用意しておいた携帯電話を使って110番し、警察の到着を待とう。自分や家族の命を守るためにも「自分は大丈夫だろう」と思わず細心の注意を払ってほしい。

(ミノシマタカコ+ノオト)
2021年8月加筆=CHINTAI情報局編集部

<関連リンク>
▼備える.jp
http://sonaeru.jp/

リンクをコピー
関連記事関連記事