【不動産のプロに聞いた】敷金はいくら返ってくる? 退去時の出費を最小限に抑えるワザ
敷金が多く返ってくる!入居してすぐにやっておくべきこと

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が発表されているとはいえ、ガイドラインを必ず守る必要はなく、基本的には努力目標となっている。したがって、敷金からどのくらい退去費用が引かれるのかは大家さんの判断になり、納得がいかなければ入居者が直接交渉することになるだろう。
ここでは、双方が納得できる形で費用の負担を決めるために、入居前もしくは入居してすぐにやっておくべきことについて解説する。
敷金が多く返ってくるポイント①部屋の傷・設備の故障を確認しておく
退去費用は部屋の修繕にかかる費用で、入居時と退去時でどれくらい部屋が損耗・毀損したかによって金額が変わる。不本意に高額な費用を請求されないためには、入居時に部屋の傷や設備の故障などを大家さん立ち会いのもとで確認しておくことが望ましい。
敷金が多く返ってくるポイント②傷対策をしておく
家具の移動や生活跡などで、フローリングや壁に傷が付いてしまうのは仕方がない。しかし、その傷が生活による傷なのかどうかを判断するのは大家さんであり、大家さんによっては「怠けて・わざと」付けた傷だと判断されるかもしれない。以下に、賃貸物件におすすめの傷防止対策を3つ紹介しよう。
賃貸物件におすすめの傷防止対策①:床にラグを敷く
冬はあたたかいうえにインテリアのアクセントにもなる。入居したら家具を置く前に敷いておこう。

賃貸物件におすすめの傷防止対策②:椅子の脚にクッションシールを付ける
100均やホームセンターなどで購入可能。床の傷を防止してくれるだけではなく、賃貸住まいにはうれしい防音効果も期待できる。

賃貸物件におすすめの傷防止対策③:壁にソフトクッションを貼る
「勢いよく棚の取っ手を開けたら、壁に当たって傷が付いてしまった!」 そのようなうっかりを防ぐために、事前にソフトクッションを付けておこう。

敷金が多く返ってくる!居住中に気を付けるべきポイント
敷金は入居者の意識次第で、ほぼ丸々返還してもらうことが可能だ。できるだけ多く返還してもらうためには原状回復を意識するだけでなく、居住中にいくつか注意したいポイントがある。ここでは、敷金ができるだけ多く返ってくることを目標に、居住中に気を付けるべきポイントについて解説しよう。
敷金が多く返ってくるポイント➀こまめに掃除をする
部屋をきれいに保つためには、こまめな掃除が必要不可欠だ。退去時に慌てて掃除することがないよう、普段からこまめに部屋を掃除しておくようにしよう。
敷金が多く返ってくるポイント②部屋・備品を丁寧に使う
入居時にあった部屋の備品を破損させてしまった場合、その修理・交換費用は入居者負担となる。予想以上に高額な退去費用を請求されないためには、入居した部屋や備品の状態を保つように心がけることが大切だ。以下に、部屋や備品で丁寧に扱うべき項目をいくつか紹介する。
水回り
水回りがきれいだと不動産会社、大家さんからの印象がぐんと良くなる。また、トイレの水洗レバーが壊れていると、初めから破損している場合をのぞいて入居者負担となってしまう。日ごろからチェックしておこう。
玄関
手入れを忘れがちなのが傘立ての後ろの壁だ。雨の湿気でめくれた壁の修理費用は入居者負担となる。こまめな換気で事前に防ごう。
カーテンレール
雨の日、洗濯物をカーテンレールにかけておく人も多いだろう。しかし、その重さでレールが壊れたり曲がったりした場合は入居者負担となってしまう。折りたたみ型の室内物干しやランドリーラックを使うと良い。
障子・ふすま
障子やふすまは汚れたり破れたりしやすい備品の1つで、慎重な扱いが求められる。仮に汚れたり破れたりしてしまった場合は、自分で張り替えずに大家さんや管理会社に連絡することをおすすめする。
敷金が多く返ってくる!退去時のポイントは「掃除」
敷金が多く返ってくるかどうかを左右するのは、退去時の掃除と言っても過言ではない。部屋の壁や床に汚れが付いていないか、洗面台やトイレ、キッチンに水垢汚れはないかなど掃除できる箇所は徹底的にきれいにしよう。
備品を「うっかり」持って行かないように注意!

退去時に掃除していると、部屋の備品をうっかり捨ててしまったり、転居先に持って行ってしまったりするケースがある。以下に、うっかり持って行ってしまいがちな部屋の備品をいくつか紹介する。
洗濯機のエルボ
うっかり持って行ってしまいがちなアイテムNo1!? これがないと次の入居者が洗濯機の排水ホースをつなげられず、困ってしまうので注意。
エアコンのリモコン
こちらも意外にありがちな備品だ。テレビや電気のリモコンなどと一緒に荷物にうっかり入れないようにしよう。
敷金が多く返ってくるコツはきれいに使おう!という気持ち
金子店長によると、部屋の撤去時は「部屋を大切に使ってきた」ことがわかるようにするといいことがわかった。入居時は部屋を外傷から守るアイテムを取り入れたり、退去時にはしっかり掃除したりすることが大切だ。敷金が全額戻ってくるよう、以上をしっかり実践しよう。
教えてくれたのは?
金子史明さん
文=編集部
写真=北原千恵美
イラスト=さとうみゆき
2021年7月加筆=CHINTAI情報局編集部
※「CHINTAI2018年1月号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています