家賃滞納中だと引越しもできないって本当? 【CHINTAI法律相談所】

家賃滞納中だと引越しもできないって本当? 【CHINTAI法律相談所】

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賃貸物件に関する疑問に弁護士がアドバイス

賃貸にまつわるトラブルや疑問について解説する【CHINTAI法律相談所】。

入居前から入居中、退去時まで、さまざまなタイミングで発生しやすい賃貸トラブル。その疑問や対応について、不動産トラブルに強い瀬戸仲男弁護士に聞いた。

賃貸トラブルは、いつ巻き込まれてしまうかわからない。現在トラブルにあっている人だけでなく、これから賃貸物件を借りる予定の人もぜひ参考にしてほしい。

瀬戸仲男さん
瀬戸仲男 弁護士

「アルティ法律事務所」所長。東京弁護士会、および東京簡易裁判所・民事調停委員に所属。顧問弁護士業務や遺産相続など取扱分野は多岐に渡り、特に不動産問題に精通している。弁護士になる前に不動産会社に勤務しており、不動産業界・実務にも詳しい。テレビやラジオなど多数のメディアに出演し、不動産関係の講演も行っている。
アルティ法律事務所 公式HP

Q.家賃滞納中は引越しできないって聞いた……引越したい時はどうすべき?

現在、家賃を1ヶ月分滞納している。だけど、仕事の都合で引越しをしなければならないことに……。家賃滞納中は引越しもできないって、ウワサで聞いたんだけど本当? 問題なく退去できる?

A.家賃滞納していても引越し可能。手続きも通常通りで問題なし

結論から言うと、家賃の滞納中でも引越しは可能だ。引越しするなら「現住居の退去」「新しい住居での賃貸借契約」が必要だが、どちらも家賃を滞納しているからといって法律で禁止されたり、制限がついたりすることはない。通常通り、退去を通知し、手続きを進めれば良いだろう。

そもそも、家賃の滞納は大家さんにとって最も避けたい事態。聞こえは悪いが、滞納者が退去して新しい入居者と契約できることは、大家さんにとって悪い話ではないので、退去を拒否されることは少ないだろう。

もちろん、退去手続き自体は滞りなくできるとはいえ、滞納している家賃は支払う必要がある。大家さんが指定する日時までに一括払いできればベストだが、経済的に難しい場合は分割払いできないか相談してみよう。

なお、通常であれば退去時に一部返還される敷金は、滞納金に充当される可能性が高い。民法622条の2第2項では「滞納金と敷金の相殺は入居者からは要求できないが、大家さんからなら可能」とされている。

敷金と相殺しても滞納金や原状回復費用が残っている場合は、いつまでに全額を支払えるのか、どのように支払うかを大家さんと話し合うこと。当然、誠意をもってお願いし、合意した期日までに必ず支払おう。

家賃の滞納は信用情報機関のデータに記載されない

住居の賃貸借契約で行われる入居審査では、収入や信用情報などが重要となる。ただ、家賃の滞納は信用情報機関のデータには記載されないため、他の大家さんや管理会社に知られている可能性は低い。そのため、通常の入居申し込みと同様、入居審査に通れば問題なく引越しできるだろう

しかし、現住居と同じ管理会社の物件だったり、同じ保証会社を利用したりした場合、話は別。当然、社内情報として家賃の滞納が記録されているので、入居審査に通ることはないだろう。管理会社や保証会社、大家さんが法人の場合は、同じ会社は避けるのがベターだ。

そもそも家賃滞納をしているということは、仕事を失ったり、収入が激減したりした結果、経済的に困窮しているケースが想定される。そうなると、法律的には問題なくとも、入居審査自体が高いハードルとなる可能性が高い。できるだけ家賃が安い物件に申し込んだり、公営住宅への入居を視野に入れたりと、お部屋探しにも工夫が必要だ。

また日本には、家賃が払えない状況におかれた方に向け、さまざまなケースに対応した制度が用意されているので確認してほしい。

ここがポイント!

家賃を滞納していても、退去や新住居の賃貸借契約に法的な制限を受けることはありません。しかし、同じ大家さんや管理会社の物件は借りることは難しく、経済的に困窮している状況で入居審査を受かるには工夫が必要です。家賃が安い物件に限定して借りられる部屋の選択肢を増やすとともに、家賃滞納を繰り返さないように心がけることも大切です。

覚えておきたい法律用語「債務への敷金の充当」

敷金は退去時に修繕費等を差し引いた額が返還される。しかし、民法622条の2第2項によって「家賃を滞納している場合、大家さんはその滞納金に敷金の返還額を充当できる」と定めている。そのため、返還される金額が少なくなる可能性が高い。

民法622条の2第2項
賃貸人(大家さん)は、賃借人(入居者)が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人(入居者)は、賃貸人(大家さん)に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

民法 – e-Gov法令検索

ポイントなのは、大家さん(賃貸人)の意思で敷金を充当することはできるが、入居者(賃借人)側は充当を請求できないこと。敷金は大家さんに対する家賃収入などの担保であり、入居者のためのものではない。「敷金を多く払っているから安心」とはならないので、注意しよう。

取材・文=綱島剛(DOCUMENT)

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