【住む街ガイド】小説『南九州温泉めぐりといろいろ体験』の舞台・人吉で江戸を感じる
小説『南九州温泉めぐりといろいろ体験』(銀色夏生・著)の舞台は南九州。今回は史跡と土蔵が江戸情緒を残すタイムスリップ系温泉街・人吉市へ足を運んだ

南九州温泉めぐりといろいろ体験
銀色夏生・著 648円 幻冬舎
『南九州温泉めぐりといろいろ体験』のあらすじ
1991年から書き継がれ30冊を超える「つれづれノート」シリーズなど、日常エッセイに定評のある著者。本書は著者の地元宮崎県からふらりと行ける、温泉、ホテル、登山などの体験エッセイ集。イラストやカラー写真も豊富に収録されている。
城下町には湯けむりと民謡がたゆたう
熊本を代表する一級河川・球磨川の清らかな流れに育まれた人吉は、歴史と温泉の町といえる。球磨川沿いには50もの源泉が湧出。『南九州温泉めぐりといろいろ体験』の著者である銀色夏生が同級生のくるみちゃんと共に訪れた「人吉温泉 元湯」を始め、数多くの公衆浴場が点在する、温泉好きにはたまらない場所だ。
鎌倉時代にこの地を治めていた相良氏の居城であり、江戸時代には人吉藩の藩庁だった人吉城をはじめ、史跡が街の至るところにある。街全体が落ち着いた上品な雰囲気で、銀色夏生も「城下町だからだろうか、浴場の客も品がいい気がする」と評したほど。球磨の地下水で仕込まれた「球磨焼酎」の産地としても知られ、街中の至るところにある酒造の土蔵も街の雰囲気づくりに一役かっている。
小説に登場するスポットを歩いてみよう!
スポット①:人吉温泉 元湯

銀色夏生も入湯して絶賛したという人吉温泉 元湯
人吉温泉を代表する公衆浴場。銀色夏生も入湯して絶賛した。人吉城址の中にある。昭和8年に開業し、入母屋造りの黒い屋根瓦が歴史を感じさせる。泉質は柔らかく、「美人の湯」と呼ばれる。●住所:熊本県人吉市麓街9
●アクセス:JR肥薩線人吉駅から徒歩20分
●TEL:0966-23-3054
●営業時間:6:00~22:00
●定休日:1月1日
スポット②:青井阿蘇神社

1200年以上の歴史を持つ青井阿蘇神社
銀色たちが温泉の後に寄った神社。1200年以上の歴史を持つ。2008年に熊本県で初、また茅葺の建物として全国唯一の国宝となる。地元では「青井さん」と呼ばれ、親しまれている。●住所:熊本県人吉市上青井町118
●アクセス:JR肥薩線人吉駅から徒歩5分
●TEL:0966-22-2274
●拝観時間:8:30~17:00
●定休日:なし
人吉市の暮らしやすさについて
かつては「陸の孤島」と揶揄された人吉だが、九州自動車道全線開通に伴い熊本、宮崎、鹿児島まで1時間と、アクセスも向上。ただ電車の本数が少ないためマイカー移動が中心となる。人吉駅周辺は開けていて「ゆめマート」や「マルショク」といったスーパーのほか、人吉駅前から球磨川へと伸びる街道沿いには銀行や飲食店なども並ぶ。
文=綱島 剛
写真=湯浅立志
※「CHINTAI2017年9月号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています
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