名作映画に”列車”あり?『鬼滅の刃』だけじゃない、おすすめ列車映画10選!+おまけ

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鬼滅だけじゃない!おすすめ列車映画10選

列車映画イメージ

Adobe Stockより

ここでは、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』で映画の面白さに目覚めた方にもおすすめしたい、優れた列車映画を10作品紹介しよう。なお、以下の作品はAmazonプライムビデオで見放題、またはレンタルでの鑑賞が可能だ。

※VODのおすすめ映画は以下も参照してほしい↓
【2020年版】U-NEXTで観たいおすすめ映画20選!映画好きにうれしいシステムとは?
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『鬼滅の刃』だけじゃない、おすすめ列車映画10選

おすすめ列車映画1:『アンストッパブル』(2010)

化学薬品を積んだ貨物列車が暴走する事故が発生したため、現場近くに居合わせたベテラン機関士と新米車掌が、決死の覚悟で列車の停止を試みるという内容だ。もっとかいつまんで言えば「暴走特急をみんなで止めようと頑張る」とシンプル。だからこそ、ストレートに楽しめるパニックアクション映画に仕上がっている。主人公2人の他も、操車場長の女性、年の功を感じさせるおじいちゃんなど、キャラクターもそれぞれ魅力的だ。

劇中には明らかに危機管理の意識が低く、それでいてコスト削減を優先し過ぎてしまうという、浅はかな人物が登場する。その結果として列車の暴走という事故が起こってしまうことに、仕事をしている人であれば襟を正すか、または実際にいる腹の立つ上司の姿を重ね合わせるかもしれない。98分という短い上映時間に、主人公2人の人生や性格が十分に描かれており、最後に至るまで全く無駄がない。「サクッと面白い映画が観たい」という方に特におすすめだ。

『アンストッパブル』の情報

監督:トニー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン、クリス・パイン、ロザリオ・ドーソン ほか
2010年、98分

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おすすめ列車映画2:『カサンドラ・クロス』(1976)

本作の最大の特徴は、強力な伝染病の列車内での感染がサスペンスにつながっていること。物語は過激派ゲリラの1人が研究中の病原菌を浴びたまま逃亡してしまったことから始まり、その人物が大陸横断列車に乗り込んだことを知った陸軍情報部の大佐は、客を乗せたまま密閉された列車のコースを変更することを無線で伝える。その先には、カサンドラ・クロスと呼ばれる老朽化している鉄橋があった。

ファーストシーンから見せ場が用意され、その後もほとんど息をつかせない展開で進行していくので、エンターテインメントとして存分に楽しめる。それ以上に重要なのは、大佐がこの列車内での大量感染を隠蔽しようとしていること。それも鉄橋を破壊することで、列車内の1000人のも人間を抹殺しようという、非道という言葉でも足りないほどの企みをしているのだ。世界中が新型コロナウイルスの危機にさらされた現在に観ると、衝撃的なクライマックスとラストはさらなる示唆を与えてくれる。

『カサンドラ・クロス』の情報

監督:ジョルジ・パン・コスマトス
出演:リチャード・ハリス、バート・ランカスター、ソフィア・ローレン ほか
1976年、128分

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おすすめ列車映画3:『スノーピアサー』(2013)

フランスのコミックを原作としたSFアクションだ。舞台は新たな氷河期に突入し、生き残ったわずかな人類が乗り合わせる列車“スノーピアサー”。車両は階層ごとに分けられており、後方列車に住む人々は、前方車両の上流階級の人間に奴隷のように扱われていた。
映画では、ある男がこの理不尽な支配に立ち向かうことになる。実にとんでもない設定であり、リアリティのことを考えるとツッコミどころも多いのだが、だからこそのインパクト抜群な画作りと、様々な奇抜なシチュエーションで最初から最後まで楽しませてくれる。

監督はアカデミー賞で作品賞をはじめ4部門に輝いた『パラサイト半地下の家族』(2019)のポン・ジュノ。格差社会をエンターテインメントに仕上げていること、突発的なバイオレンス描写があることなどに、本作との共通点を見出せるだろう。主人公のクリス・エヴァンス、その相棒のジェイミー・ベル、そして強烈な悪役のティルダ・スウィントンなど、実力と人気を兼ね備えたハリウッドの大人気俳優の出演も見どころだ。なお、2020年よりNetflixでドラマ版の放送もスタートしている。
(※AmazonPrimeでの見放題は2020年11月23日までなのでお早めに!U-NEXTでは引き続き楽しむことができる。)

『スノーピアサー』の情報

監督:ポン・ジュノ
出演:クリス・エヴァンス、ソン・ガンホ、ティルダ・スウィントン ほか
2013年、125分

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おすすめ列車映画4:『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2017)

本作のジャンルはゾンビ映画。列車内にゾンビが出現し、人々が逃げ惑う中で、ファンドマネージャーという利益優先の仕事に就く男、妊娠している妻を思いやる屈強な男、ホームレスの中年男性など、特徴的なキャラクターの本性が徐々に顕となっていく。助け合いや自己犠牲など尊い精神のもとで行動する者がいる一方、感染の疑いがある者への容赦のない誹謗中傷や差別を行う者もおり、前述の『カサンドラ・クロス』以上に現実の新型コロナウイルスでの問題を思い起こさせるところがある。

単にゾンビから逃げ惑うだけでなく、「音に反応する習性を逆手に取る」などの知恵と工夫による攻防戦が楽しめることも大きな魅力。ゾンビ映画にしては、直接的な残酷描写は最小限にとどめられておりG(全年齢)指定であるので、グロいのが苦手という方にもおすすめできる。拍手をしたくなるほどに見事な伏線回収、あっと驚く見せ場もふんだんに用意されており、とにかくエンターテインメントとしての完成度が高い。個人的には、ここに挙げた列車映画の中でも一押しの大傑作だ。なお、本作の続編である『新感染半島 ファイナル・ステージ』が2021年1月1日に公開予定であり、こちらはスケールもアクションもよりパワーアップしている。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』の情報

監督:ヨン・サンホ
出演:コン・ユ、キム・スアン、チョン・ユミ ほか
2016年、117分

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おすすめ列車映画5:『ミッション:8ミニッツ』(2011)

本作は導入からして刺激的だ。目を覚ますとそこは見知らぬ通勤列車、周りの光景も話しかけてくる人にも全く見覚えがない。そして、8分後に列車が大爆発を起こして乗客が全員死亡してしまう……!という状況から物語が始まるのだ。主人公自身が「何がどうなっているのかさっぱりわからない」状態から進んでいくために、観客もその気持ちに同調し、事態に翻弄される。やがて明確な目的に向けて行動していく姿に大いに感情移入ができるようになっている。

実は、本作は“ループもの”でもある。それは、『恋はデジャ・ブ』(1993)や『ハッピー・デス・デイ』(2017)などと同様に、同じ時間をひたすらに繰り返しながら、何とか状況の打開を図っていくという、それだけで一定の面白さがあるジャンルだ。それに加えて、本作では爆弾および犯人を見つけ出すまでのミステリー要素、さりげない伏線も張り巡らされ、そして「限りある時間の中で何を大切にして生きるか」という普遍的なメッセージ性も備えているという、全方位的に作り込まれた内容になっている。

『ミッション:8ミニッツ』の情報

監督:ダンカン・ジョーンズ
出演: ジェイク・ギレンホール,、ミシェル・モナハン、ヴェラ・ファーミガ ほか
2011年、92分

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おすすめ列車映画6:『新幹線大爆破』(1975)

日本にも優れた列車映画がある。その代表が『新幹線大爆破』だ。走行中の新幹線の乗客を人質にとった脅迫事件が発生し、仕掛けられた爆弾は速度が時速80キロ以下になると爆発する。その後は犯人と警察、そして国鉄の人間それぞれの駆け引きがテンポ良く展開する。運転士役の千葉真一、運転指令長役の宇津井健、そして悪役に高倉健と、日本最高峰の俳優たちの演技合戦も大きな見どころだ。

本作は社会に虐げられた犯人たちの心情、その切ない友情の物語も丹念に綴られており、高度経済成長への批判も暗に示されている。本作は映画『スピード』(1994)の設定の元ネタとされている他、『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』(1997)にもそのオマージュと思われる展開があるなど、後の映画に与えた影響も大きい。ちなみに、国内の興行収入は振るわなかったのだが各方面からの評価は高く、海外では日本映画としては異例のヒットを記録した。この時代にここまでのエンターテインメント大作を日本で作り上げたことも含め、記念碑的な名作と言えるだろう。

『新幹線大爆破』の情報

監督:佐藤純彌
出演: 高倉健、千葉真一、宇津井健 ほか
1975年、152分

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おすすめ列車映画7:『バルカン超特急』(1938)

列車の中で、一人の老婦人がこつぜんと消え失せたことから始まるミステリー。序盤は雪崩のために狭いホテルで立ち往生することになった乗客たちのやり取りが続くため、少し退屈に感じるかもしれない。だが、老婦人がいなくなってからは、グイグイと引き込まれる展開が続く。何しろ、老婦人が列車内にいたという痕跡が全く見つからず、その存在を訴えているのは若い女性ただ1人のみ。「幻を見ていたのではないか?」と、映画を観ている観客までもが疑うという事態になっていくのだから。

無礼なクラリネット奏者の青年と、結婚を間近に控えた若い女性が、初めは反発しつつも状況から推理をして、少しずつ真実へと近づいていく様は、ミステリーとして存分に楽しめる。終盤では次々に予想外の事態も起こるため、その“翻弄される”面白さも味わえるだろう。アルフレッド・ヒッチコック監督作品の中でもとっつきやすい内容だ。

『バルカン超特急』の情報

監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:マーガレット・ロックウッド ほか
1938年、95分

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おすすめ列車映画8:『ミッドナイト・ミート・トレイン』(2008)

変わり種としてはこちらもいかがだろうか。
主人公である写真家がチンピラに絡まれていた女性を助けるが、翌日にその女性が行方不明になったことを知る。地下鉄で別れ際に撮った彼女の写真に写っていた怪しい男は、地下鉄内で連続殺人を行なっていた……という内容だ。実写映画版の『あずみ』(2003)や『ルパン三世』(2014)などを手がけた日本人監督の北村龍平のハリウッド進出作であり、「どこに連れて行かれるのかわからない迷宮に迷い込んでいく感覚」や、終盤の格闘アクションの“ケレン味”に、北村監督らしさを感じることができた。

ジャンルとしてははっきりホラーであり、R15+指定でもギリギリと思われる、とても残酷なシーンがある。ここで挙げた作品の中では評価は決して芳しくなく、物語としては整合性が取れていないところもあるなど、観る人をはっきりと選ぶ内容だろう。だが、地下鉄に乗り込んだ乗客の失踪を調査するという物語の発端、列車内での驚きのバトルシーンがあることなど、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』との共通点が多かった。グロいスプラッター描写がすきだという方にはおすすめだ。

『ミッドナイト・ミート・トレイン』の情報

監督:北村龍平
出演:ブラッドリー・クーパー、レスリー・ビブ、ブルック・シールズ ほか
2008年、103分

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おすすめ列車映画9:『ポーラー・エクスプレス』(2004)

ファミリー向けのアニメにも列車映画はある。物語はサンタクロースを信じられなくなった少年のもとに、大きな蒸気機関車が突如として現れたことから始まる。それは北極点へと向かう汽車であり、彼の他に乗っている子どもたちはみんなサンタを信じていた。16年前の作品であるが、パフォーマンスキャプチャーを駆使したキャラクターのリアルさ(ちょっと怖い?)とその動き、幻想的で美しい絵本の世界の再現など、映像面での映画の進化を存分に感じることができる。

物語はシンプルであるが、大小様々なアクションの見せ場がある。特に「様々な場所を飛ぶチケット」や「列車がジェットコースターのようにアップダウンする線路を疾走する」といった場面は、大人も童心に帰って楽しむことができるだろう。エンターテインメント作品を得意とするロバート・ゼメキス監督の遊び心が詰まっている、「サンタって本当にいるの?」という疑問を持ち始めた子どもに見てほしいと願える、とても楽しい1作だ。

『ポーラー・エクスプレス』の情報

監督:ロバート・ゼメキス
出演:トム・ハンクス、ノーナ・ゲイ、ピーター・スコラリ ほか
2004年、100分

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おすすめ列車映画10:『キートンの大列車追跡』(1926)

まず注目して欲しいのは、その製作年。前述した『バルカン超特急』よりもさらに12年前、CGどころか特撮もない、セリフ(音声)もないサイレント映画の時代に、列車を存分に利用したアクションコメディ映画を作り上げているのだから。物語は、主人公の機関士が愛する機関車を強奪されたため、それを奪回するために孤軍奮闘するというもの。列車での追跡劇はそれだけでスリリングであり、奪われた列車の中に囚われている恋人とのロマンスの他、「どうやって(この時代に)撮ったんだ?」と思わせる様々な見せ場が用意されている。

チャールズ・チャップリンと並び世界の映画史に名を残す喜劇俳優で、自らも監督をこなす主演のバスター・キートン。アクロバティックな生身のアクションと、豊かなコメディとしてのアイデアの数々には舌を巻く。ここまでの古い映画とは思えない“派手さ”に驚く方が多いのではないだろうか。ちなみに、物語の舞台は南北戦争真っただ中のアメリカ・ジョージア州であり、戦争への皮肉と思しき描写も多い。エンターテインメントでありながら社会派の一面も備えている、ということも優れた映画であることの証明だ。

『キートンの大列車追跡』の情報

監督:バスター・キートン
出演:バスター・キートン, マリオン・マック ほか
1926年、74分

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次のページでは、列車映画の面白さの理由を解説する。

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