敷金・礼金がゼロな物件のメリット・デメリットは?
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敷金・礼金ゼロの物件は本当にお得?
お部屋探しサイトを見ていると、時折目にする敷金と礼金ゼロの物件。
- そもそも敷金・礼金とは何なのか
- 敷金・礼金の相場は一体どのくらいなのか
- 敷金・礼金は地域によって差があるのか
- どうして敷金・礼金をゼロにできるのか
- 敷金・礼金がゼロの物件のメリット・デメリットは?
といった様々な疑問や悩みを持つ人は多いはず。
敷金・礼金の意味や注意点について確認したうえで敷金・礼金ゼロ物件のメリット・デメリットについて解説していく。
※こちらの記事は、2014年5月20日に公開した内容を、2021年4月14日に更新しました。
そもそも「敷金」「礼金」とは
お部屋を探す際によく耳にする「敷金」と「礼金」という言葉。
敷金・礼金の違いや特徴についてよくわからないという人も多いのではないだろうか。
まずは敷金・礼金の意味・特徴・注意点について確認しよう!
敷金の意味と相場
「敷金」とは借主が支払うべき金銭を負担する目的で、あらかじめ貸主に預けておくお金だ。
民法上では「敷金」や「保証金」についてはっきりとした定義がなかったが、平成29年5月26日に「民法の一部を改正する法律案」が可決成立し、交付された法律の中で、敷金の定義や敷金の返還について明文化された。
退去時に家賃の未払いがあった場合や、借主の故意や不注意によって修繕やルームクリーニングが必要になった場合、原状回復のための費用として敷金から差し引かれる。
実際にかかった費用との差額は借主に返還することが定められている。
ただし、契約によっては借主に原状回復の義務が生じない通常使用でも、退去時にルームクリーニング代を請求されることがあるため契約の際にはしっかりと確認しておこう!
ちなみに、敷金の相場は月額家賃の1~2ヶ月分程度となっている。
敷金まとめ
意味 | ●賃貸契約をするときに貸主に担保として預けておく費用のこと ●退去時に原状回復のための費用として使用される |
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特徴 | ●家賃の1~2か月分程度 ●退去時に引かれる費用との差額は借主に返還される |
注意点 | ●「敷金ゼロ物件」の場合、退去時の原状回復費で 借主負担の割合が大きい場合がある ●退去時に家賃の未払いがあれば、敷金から差し引かれる |
礼金の意味と相場
礼金とは、家を貸してくれたことに対する感謝の気持ちとして貸主に支払う謝礼のことであり、月額家賃の1~2ヶ月分が相場だ。
礼金は礼金は慣習として根付いているもので、法律で定義が定められているわけではない。
一般的に礼金は設定されることが多いが、近年「礼金ゼロ」という物件も増えてきた。
礼金まとめ
意味 | ●家を貸してくれたことに対する感謝の気持ちとして 貸主に支払う謝礼のこと |
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特徴 | ●家賃の1~2か月分程度 |
注意点 | ●敷金や保証金と違って返還されることはない |
地域によって敷金・礼金の扱いが異なる
賃貸の部屋を借りる際の初期費用である敷金・礼金は、先述したとおり、住むエリアによって扱われ方が少々違ってくる。おもに関西・中国・九州といった西日本エリアでは、「敷金・礼金」から「保証金・敷引き」という名称と扱いに変わる。
これらエリアの場合、「保証金」はおもに家賃滞納や原状回復費用のリスクに備えるものであり、「敷引き」は東日本エリアの礼金と同様に返金されない。このように、エリアによって初期費用の扱いが異なる場合がある。他都道府県への引越しの際は注意が必要だ。
敷金・礼金ゼロの物件が存在する理由
では、なぜ重要である敷金・礼金がゼロの物件があるのだろうか。敷金・礼金が不要な物件が存在する理由を、あらためて説明していこう。
「敷金なし」は代わりの仕組みで回収している
敷金は家賃の未納があった場合や、退去時の原状回復費用として預けておくお金だ。必要になる費用であるため、ほかの方法で敷金程度のお金を回収していることが多い。
一例として、すぐに退去すると請求される短期解約違約金が設定されている、退去時の鍵の交換費用・部屋のクリーニング代が請求されることがはじめからルールとなっている、家賃が増額しているなどだろう。
「礼金なし」は大家さんの厚意
礼金はもともと大家さんへのお礼のお金なので、貸主である大家さんが不要だと思えば支払う必要がなくなる。「空室を発生させたくない」という理由から、大家さんが礼金をゼロにして、入居者への負担を減らすケースも多い。大家さんにとっては、1回のみの礼金よりも、毎月の家賃収入がなくなるほうが痛手なのだ。
敷金・礼金ゼロの物件に入居するメリット
敷金・礼金ゼロの物件に入居するメリットは、なんといっても初期費用が安く済むことだろう。賃貸物件で新生活をはじめるにあたってかかる初期費用の相場は、家賃の5倍ほどだといわれている。
たとえば月額家賃が6万円の場合、初期費用として30万円ほどを想定しておこう。そのなかの12万~24万円ほどが、敷金と礼金が占めることになる。残りは引越し代・家具家電の購入費などになるだろう。ここで敷金・礼金がゼロになれば、ほかの費用にかけられる予算が増えることになるのだ。
敷金と礼金がゼロの場合、おおまかにいって初期費用が予定の半額、もしくは半額以下で済むことになる。この差は大きいといえるだろう。
入居後に急な転勤となるなど、短期間で退去することになった場合でも、短期解約違約金が思ったほど高くないケースもある。契約前には、このあたりの金額をチェックしておくことが節約のポイントだ。
敷金・礼金ゼロの物件に入居するデメリット
一方、敷金・礼金ゼロの物件を選ぶ際のデメリットには以下のようなものがあるので、心得ておこう。
相場より家賃が高めに設定されている可能性がある
先述したが、退去時にどうしても必要になる原状回復費などを回収するために、その分を家賃に上乗せしているケースもある。そのため、周辺エリアの家賃相場のチェックが必要だ。
月額家賃は7万円(敷金・礼金ゼロ)だが、実はエリアの相場が6万円(敷金・礼金あり)だったという場合、最初の1年間でどのくらい違ってくるのか計算してみよう。
- 家賃7万円×12ヶ月=1年間の出費84万円
- 家賃6万円×12ヶ月+(敷金6万円+礼金6万円)=1年間の出費84万円
1年間の出費は同額になる。つづいて、2年間の年間出費を計算してみよう。
- 家賃7万円×24ヶ月=2年間の出費168万円
- 家賃6万円×24ヶ月+(敷金6万円+礼金6万円)=2年間の出費156万円
2年間では12万円の差が出ることがわかる。1年目以降は月額家賃が安いほうがお得になるのだ。
退去時にかかる費用が高くなりやすい
次の入居者のために、退去時には部屋をクリーニングしたり、破れた壁紙を貼りなおしたりなど、部屋の状態をもとどおりにする必要がある。その費用としての敷金を預けていないため、退去時にはこれらの費用がかかってくることになるのだ。
部屋のクリーニング費用は、一番小さな間取りの1Kで1万円~、広めの3LDKでは高くて8万円ほどかかる。これにはエアコンの配管など、目に見えない箇所のクリーニングが必要になるケースも含まれる。入居しているあいだ、できるだけ部屋をきれいに使うことも大切だが、退去時にかかる費用を積み立てておくことも忘れないようにしよう。
物件の条件が悪い可能性がある
敷金・礼金がゼロの物件では、日当たりが悪い、築年数がかなり経っていて古い、最寄り駅から遠いなどの理由で人気がないために、長いあいだ空室になっている部屋の可能性もある。
このようなケースでは、物件の条件が自分の許容範囲であるかどうかが決め手だ。最寄り駅から遠い場合は、自転車やバスが利用できるかなど、ほかの手段で補えるかも考えてみよう。
保証会社への加入が必須な場合もある
敷金・礼金がゼロの物件に入居する際は、保証会社への加入をもって、退去時の原状回復費用としての敷金分を保証する形となることも多い。大家さんにとっては、退去時にかかる費用を支払ってもらえなければ大きな出費となる。そのリスクを回避するためにも、入居者に保証会社へ加入してもらえれば安心だ。
物件の契約時には必ず契約書をよく確認しておこう!
敷金・礼金ゼロ物件を選んだからといって他の費用がかからないというわけではないため注意が必要だ。
物件入居してからのトラブルを避けるためには契約書などをよく確認しておくことが大切。
事前に確認しておくべき項目と、チェックポイントをしっかりと認識しておこう。
次ページでは、敷金・礼金ゼロの物件に入居してからのトラブルを避けるためのチェックポイントをご紹介する。