【暮らし探訪】プライベートゼロ!若き実業家が暮らすシェアリング賃貸

公開日:2017年12月6日

17歳で宅地建物取引士の資格を取得して19歳で初めての起業。これまで体当たりで挑戦を続けてきた源さん(29歳)。仕事中心に生きる彼が、次に見つけた目標とは?

【暮らし探訪】プライベートゼロ!若き実業家が暮らすシェアリング賃貸

プロフィール

氏名:源 侑輝さん
職業:(株)Livmo代表取締役社長
http://livmo.co/
出身地:北海道
生年月日:1988年8月7日
小学生のころの夢:建築士と宇宙飛行士
小学生時代のマイブーム:学研の図鑑

ルームデータ

所在地:東京都港区
家賃:32万4000円
間取り:6SLDK(170㎡)
築年数:36年

1階の間取図

1階の間取図

2階と3階の間取図

2階と3階の間取図

日本の住まいをもっと自由にしていきたい

住宅を所有or賃貸の二択ではなく、シェアハウスや民泊など新しい形態にすることで住まい方の自由度を高め、所有者側の利益も上げる。それが源さんが代表を務める会社「株式会社Livmo」のビジネスだ。

現在の仕事について話す前に、まずは彼が歩んできた道を紐解いてみたい。
ド肝を抜かれること間違いなし!

初めて起業したのは、なんと彼が19歳、まだ北海道にある大学に通っていた時のこと。母親が所有する不動産を管理するための会社を立ち上げた。事業に必要な宅建士資格は17歳で既に取得していたというから、さらに驚きだ。
22歳の時には、なぜか八百屋を開業。近くで採れた野菜をその地域で販売し、生産者にきちんと収益が入る仕組みづくりを行った。ビジネスとしては成功だったが、ここでショッキングな出来事が起こる。

「近くでおいしい野菜が採れるのに、スーパーにはなぜ他県で採れた野菜ばかりが並んでいるのだろう、という素朴な疑問から自分で八百屋を始めました。予想以上に上手くいったのですが、もともと地元にあった八百屋さんが廃業してしまった。ショックでしたね。競争するのではなく一緒に歩む道もあったのではと後悔しました」

この出来事を通して、もっと本気で会社経営を学ばなければ、という思いが募っていったという。地方の中に埋もれてゆく危機感にもあおられ、ついに上京を決意。大学を3年で中退し、かわりに社会起業家を育成するビジネススクールに入学する。この学校でシェアリングエコノミーの概念に触れ、現在の仕事につながるビジネスモデルを思いついた。

「自分が住みながら、使っていない部屋を貸し出すようなサービスが、ごく当たり前にできる時代がやって来る」と確信したという。24歳にして3度目の起業だ。

古い建物ながら、吹抜やロフトなど、縦の空間をうまく使った構造がユニークだ

古い建物ながら、吹抜やロフトなど、縦の空間をうまく使った構造がユニークだ

経営者としてさらなる成長をしていきたい

気になることがあると、とにかく現場に飛び込み、動きながら課題を解決していくのが彼のスタイル。ホームレス支援に取り組んだ時には自分たちが暮らすシェアハウスで家のない人たちと同居し、彼らに管理人のようなことをしてもらった。それだけでなくホームレスの実態を知るために、自身が1ヵ月間、家ナシ生活を経験した(!)というからブッ飛んでいる。

現在の主な事業は、シェアリングに適した構造へのリフォームやそのコンサルティングなどだ。また、直接シェアリング物件の運営もしている。
実は現在、事務所兼自宅として入居している賃貸物件がまさにそれ。1階が駐車場と倉庫、2階3階が住居というユニークな造りで、6SLDKのうち、会社で継続的に使っているのは3階部分のLDKのみ。使っていないスペース、倉庫や駐車場はもちろん、空き部屋、テラスまでも時間制で貸し出している。2階は源さんと社員の寝室になっているが、そこですら不在にしている時はレンタルしているというから凄い。

「ここに住んでいる限り、プライベートはないです(笑)。でも、こんなに狭いスペースでもきちんと利益を生み出せる、ということに何だかワクワクしませんか?資産やノウハウを囲い込むのではなく、みんなでシェアして社会全体を良くする。そういうことに快感を得るタイプなんです。何よりもまず自分がいろんな家に住んでみたいから、このビジネスを始めたというのはありますね」

3階のリビング部分。レンタルスペースとして貸し出したり、メンバーが仕事場として使う

3階のリビング部分。レンタルスペースとして貸し出したり、メンバーが仕事場として使う

経営者としてさらなる成長をしていきたい

この建物を見つけた瞬間、シェアスペースとしての可能性にひかれ即転居。ところが契約は半年の期間限定で、その後は取り壊されることが決まっていた。理性的なようでいて実は直感的、そうした人間味のあるところも彼の魅力だ。

多くのことにチャレンジしてきた源さんだが、ジュースを買うのもためらうような経営危機も経験したという。そのたびに、「崖から落っこちて酷い目にあったな、と思っていたら、そこに宝箱があった」ような強運にも何度も助けられたそう。

これまで、持ち前の体当たり精神と強運で会社経営を行ってきたが、抱えるスタッフが増え、プロジェクトの規模も拡大。より合理的な判断が求められるようになってきた。そこで1年後には経営や経済をより深く学ぶため、会社経営を続けながら再び大学に入ると公言している。座学で学んだ知識を仕事の現場で活かし、現場で学んだことを座学で補うことで、より見識を深めようという狙いだ。

5年後には経営者としてさらに一歩成長するため、MBA取得を目指して海外に。同時に海外支社の設立まで視野に入れている。そして10年後の目標は、ハウスサーフィン?

豊かさとは、多様性を受け入れる社会だと彼は考える。戸建、アパートといった既存のカテゴリーにとらわれず、木の上や船の上の家、コンテナハウスなどあらゆる形態の家を実現し、人々が自由に住まう。そんな社会にすることを目論んでいる。そして彼自身も、家を気ままに移り住む暮らしを送るつもりだ。

現状では幾多の障壁が立ちはだかっているが、きっと彼なら実現してしまうことだろう。

源さんの寝室。物が少ないのは、日中は貸し出しているためだ

源さんの寝室。物が少ないのは、日中は貸し出しているためだ

 

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文=田端邦彦
写真=尾形和美

※「CHINTAI2017年10月号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています
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