INTERVIEW
「見せる」から「守る」へ。
未来を見据える、水族館の新たな使命
- 株式会社鳥羽水族館 生物多様性保全推進室長 取締役
- 三谷伸也 さま

知的な発見と驚きが息づく、生きた学びの場
鳥羽水族館は、1955年の開館以来、地元である鳥羽市や三重県と深く結びつきながら、多くの来館者に驚きと知的好奇心を呼び起こす展示を提供してきました。約1,200種を飼育する全国最大級の施設で、従来の水族館の枠にとらわれない展示づくりにも挑戦しています。
なかでも、特筆すべきなのは飼育している「海獣」の種類の多さ。たとえば、日本で唯一ジュゴンを飼育していますし、アフリカマナティーも国内ではここだけ。この両種を同時に見られるのは、世界でもここ鳥羽水族館だけです。また、複数種のザリガニを常設展示するコーナーも設けており、これも国内では数少ないと言えるでしょう。
開館当初から、初代館長をはじめとする先人たちは、動物の魅力を「どう伝えるか」、そして「どう飼育技術を磨くか」に力を注いできました。私たちもその思いを受け継ぎ、今の時代に合ったかたちで次の世代へとつないでいきたいと考えています。
「見せる」から「伝える」へ――展示の意味を問い直す

いま、水族館に求められる役割も少しずつ変わってきていると感じます。鳥羽水族館では、「生き物の動きや反応を通じた健康管理」や「絶滅危惧種への保全意識の啓発」など、展示そのものに意味を持たせる取り組みを大切にしています。ただ見てもらうだけでなく、展示を通じて「本物」の生き物と出会った来館者が、自然との関わりを見つめ直す――そんなきっかけをつくれたらと思っています。
例えば、絶滅危惧種「ウシモツゴ」の保全活動には20年以上取り組んできました。生息地の自治会、県内の大学や博物館の先生方、自治体などと連携しながら、調査・保護・育成を進めています。一方で、飼育現場には人材継承という課題もあります。長く飼育に携わってきた職員の経験や技術をいかに次世代へとつなぐか。ベテランの経験や工夫に頼るだけでなく、今の時代に合った持続可能な飼育体制を模索しているところです。
小さな命にも光を。共に未来を育むパートナーシップ

無数とも思える生き物の種類が、今この瞬間も減りつつあります。当館を訪れた子どもたちが大人になったときにも、変わらず生き物と出会える未来を残すために。展示を通じて、自分たちの行動を見つめ直すきっかけになればうれしいですね。
そのためにも、今回の社会貢献プロジェクトでは、CHINTAIの支援により、希少な淡水魚のような「地味だけれど大切な存在」にも注目した展示を展開していきたいと考えています。ラッコやジュゴンといった海獣類はもちろんですが、日本人の原風景をつなぐ在来種にも光を当てていく。そうしたメッセージを丁寧に伝えていくことも、水族館の重要な役割です。
生き物たちの魅力を伝えていくためには、時間も手間もかかります。しかも、一度きりの発信ではなく、継続して取り組んでいく姿勢が欠かせません。今回のプロジェクトを契機に、CHINTAIとの長期的なパートナーシップへとつながることを願っています。
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