足の指がつったときの感覚が大好き。なんか惜しいぜ、押居A太です。
人、車、そしてジャガイモ。これに“新”をつけてみよう。
新人、新車、新じゃが。たちまちポジティブな輝きを放ちはじめ、明るい未来が見えてきそうだ。
例えば、こないだ引越しを手伝った新婚、磯野のように。
新婚で新築住まい。神々しいほどまばゆい”新“のオーラに包まれた今の磯野。
実家は三世帯同居の古い家だから、新居に住まう喜びもひとしおだ。
「この地域は新婚だと、家賃補助の行政サービスが受けられる。 だからちょっと欲張って、新築をね」。
しっかり者。勉強が苦手な磯野はその分、人より処世術に長けていたかもしれない。
さあ、引越し作業も終盤だ。今日のために取り揃えた、新しい家具、電化製品、食器類が、新しい部屋に整理されてゆく。
重いものは磯野が運び、奥さんはレイアウトを指示。
手に手を取り合って二人で部屋を作る。
”はじめての共同作業“なんてよく言うけれど、新居作りはまさにそれだ。
「さて、そろそろはじめるか」。
何を?「水道式」。
ふたりは蛇口をしっかりと握り、ゆっくりひねる。ゴボゴボ~。「うおー!」どこからともなく歓声が上がる。
新築にはじめて水が流れる記念すべき瞬間。
「あとで点灯式もやるからな」。…いや、それまでには引き上げるよ。
新婚の二人には、何もかもが美しく見える。
小学校時代から変わらない、磯野のイガグリ坊主も、奥さんから見ればイタリアンなおしゃれ坊主に見えているのかもしれない。