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新たな音楽を作り続けるサウンドムーヴメント“アルゴレイヴ”とは?(前編)

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世界各所で勃興している音楽ムーヴメント“アルゴレイヴ”
レイヴというからにはダンスミュージックなのだけど、それは既存のものとは違い、全ては現場でコードをプログラミングしその場で生み出していく、いわば電子的即興音楽。とはいえ、それって……? なんて人も多いハズ。そこで今回は、アルゴレイヴ界の第一人者でもあるRenick Bell(レニック・ベル)にインタビュー。その歴史と本質、さらには魅力をたっぷりと聞いてみた!

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アルゴレイヴとは…音楽ジャンルではない!?

Renick Bell(レニック・ベル)による“アルゴレイヴ”演奏中の様子①

——そもそも“アルゴレイヴ”とはどんな音楽なんでしょう?

Renick Bell:それはイベントであり、社会運動で音楽のジャンルではないんだ。そして、実はある冗談が発端になっている。それは、発案者のAlex McLean(アレックス・マクリーン)とNick Collins(ニック・コリンズ)がパーティーに向かう際、車中で自分たちの音楽のことを“アルゴレイヴだ”って冗談で言ったようなんだ。そして、その後も2人は一緒に活動し、彼らと同じような音楽を演奏する人たちを集めムーヴメントを作った。あともう1つ重要なのは、単なるライヴレコーディングではないってこと。演奏者自身が開発、もしくは改良したコンピューターのアルゴリズムから生まれたレイヴ的な音楽なんだ

——BPMなどは関係なく、ジャンルに縛られない自由な音楽ということでしょうか?

Renick Bell:その通りさ。僕は2018年、イギリスのシェフィールドと東京でアルゴレイヴを2つのフロアで披露したんだけど、1つは比較的アグレッシヴなダンスミュージックがかかっていて、もう1つはチルアウト系。その2つのフロアでアルゴレイヴをかけた。チルアウトルームではビートのない音楽をはじめ、それこそテンポが全くないものからスローテンポ系までね。でも、もう1つのフロアではBPMが160〜180、200のものまでかかっていたよ

——例えば、即興音楽やジャズのインプロビゼーションの電子版と考えていいのでしょうか?

Renick Bell:ジャズとは近い関係だと思う。アルゴレイヴは全員が即興演奏をしているわけじゃないけど、大半の人はそうしているね。ツールを駆使することで、Ableton Liveなどよりも簡単に即興演奏ができるからさ。DJもインプロビゼーション的だけど、アルゴレイヴの世界ではより音楽的な部分において決まりはないんだ

——2019年にはAphex Twin(エイフェックス・ツイン)に誘われ、彼のイベントにも出演されました。エイフェックス・ツインもまた近い音楽性を持っていると思うんですが……。

Renick Bell:僕は17歳、18歳のころに彼の音楽を発見した。本当に素晴らしくて、すぐに夢中になったよ。だから彼からイベント出演の話をもらい、ヘッドライナーとしてステージに上がり、終了後には直接話ができたことは特別な体験だったね

大きな影響を与えたのはAutechre『Confield』

——あなたがアルゴレイヴを演奏するようになったきっかけは?

Renick Bell:初めてプレイしたのは2013年のオーストラリア。僕はアレックスがアルゴレイヴを始める前から彼の作品を愛聴していたんだけど、あるとき彼がオーストラリアで開催するアルゴレイヴのイベントの出演者を募集していてさ。当時僕は日本にいて、イギリスよりもオーストラリアの方が近いから挑戦してみようと思ったんだ。僕の開発したソフトウェアが人前で演奏できるところまで達していたこともあってね。そしたら見事審査に通った。これが僕にとっての初アルゴレイヴだね

——そもそもアルゴレイヴ的な音楽を作り始めたのはいつごろ?

Renick Bell:大学生時代、1994年か1995年あたりだね。でも、当時はまだリアルタイムでできる環境じゃなくてさ。レコーディング終了後にはコンパイル作業をしなくてはならず、完成しても聴ける状態になるまでには長い待ち時間が必要なこともあった。しかも、うまくいかないと編集し直して、再びコンパイル作業に入って待つ……そんな感じだったね。その後ツールが改良され、オープンソースの音響プログラミング言語『SuperCollider』が使えるようになり、リアルタイムで演奏するのも容易になった。それで僕は大学院生時代にSuperColliderのみを駆使して音楽システムの開発に着手した。その頃にはすでにアルゴレイヴを聴いていたけど、僕の中ではAutechre(オウテカ)が重要なアーティストだったんだよね。彼は素晴らしい音楽をたくさん手掛け、なかでもアルバム『Confield』はアルゴリズムから作られた、非常に重要なエレクトロニックダンスミュージックだと思う。実際、僕はこのアルバムから大きなインスピレーションを受けたしね

——ちなみに、アルゴレイヴのライヴを初めて見たときの印象は?

Renick Bell:僕は何年もアルゴリズムから作られるエレクトロニックミュージックを聴いていたから、アルゴレイヴに特化したイベントがあると聞いたときには本当に興奮したし、同じものに興味を持つ人たちのコミュニティができたことがとにかく嬉しかった。それまでは各自アルゴレイヴを聴いて胸を踊らせていたわけだけど、シーンができて、もはや単なる音楽ではなくカルチャーとして形成され始めた、それがすごく励みになったんだ

第一人者が語る、アルゴレイヴの魅力と楽しみ方

——あなたが考えるアルゴレイヴの魅力とは?

Renick Bell:面白い点はたくさんあるよ。最もエキサイティングだと思うのは、僕らが予想しなかったような音楽や既存の電子音楽では体験したことのないようなものを作る上でアルゴリズムが使えるということ。世界にはジャンルを超越して新しい音楽を作り出してきたアーティストはたくさんいるけれど、僕らはアルゴリズムを駆使することで、これまでに聴いたことのない、根本的に異なる音楽を作ることができるんだ。そして、それはパフォーマンスにおいてもね。僕は昔から常に“新しい音楽”を探していた。そんななかオリジナルの楽曲を制作し始め、当初はアルゴリズムを使わず、昔ながらの電子音楽系の作曲ツールを使っていたんだけど、あるときアルゴリズムを使うことで断然クリエイティヴな楽曲作りができることに気付いた。きっとみんなきっかけはそんな感じだと思うよ

——なるほど……。

Renick Bell:あとはイベントであり、社会運動であることも重要だね。だからこそ人々が結束し、様々なことが見えてくる。アルゴレイヴの素晴らしさの1つに、ライヴ中は常にコンピューター上で作業している過程をスクリーン上に映し出せることがある。パフォーマーはそれを推奨されているんだ。これはユーザーインターフェイスをスクリーンで見せるのとは若干違い、例えばライヴ中にパフォーマーがメールをチェックしたりすることもあるんじゃないかってオーディエンスが推測したりするジョークが生まれたりもする(笑)。普通はラップトップがステージに置いてあるだけで、パフォーマーがキーボードを叩いていてもみんなは何をしているのかわからないよね。でも、アルゴレイヴのライヴではパフォーマーがやっていることを覗くことができるんだ

Renick Bell(レニック・ベル)による“アルゴレイヴ”演奏中の様子②

——それは他のライヴでは見ることのできない光景ですね。

Renick Bell:みんなプログラミング中の様子は見たことないと思う。非常にミステリアスな作業だよね。でも、アルゴレイヴの世界ではそれを見ることができ、オーディエンスは一種のエンターテインメントとして刺激を受けている。そして、それは同時に人々のプログラミングの見方を変えていると思うんだ。僕の個人的な目標としては、プログラミングの過程を見たオーディエンスに「今何か手を加えたから音楽にも変化が出た!」ってわかってほしい。そうすることでプログラミングに対する恐怖心を取り除き、みんながアルゴリズムにアプローチしやすくなったり、自分でプログラミングするようになると思からね。例えプログラミングはしなくても、僕らの社会におけるこの重要なツールに対し、新たな姿勢で接するようになるはずさ

——確かにプログラミングとは何か、わからない人は多いと思います。

Renick Bell:そして、最後に伝えたいのはコミュニティが存在するということ。僕らは包摂的な環境作りに対し、ものすごく努力を重ねてきた。それこそ、プログラミングをスクリーンで見せることでパフォーマーとオーディエンスの境界線を緩めていたりね。そして、何より他の音楽とは違い、オーディエンスとの距離も近い。それが包摂的な環境作りにも一役買っていると思う。例えば、アルゴレイヴのシーンではイベント出演者のジェンダーバランス面も優れていて、それは非常に重要なことだよね

——リスナーにはアルゴレイヴをどう楽しんでほしいですか?

Renick Bell:楽しむ方法はたくさんあるけれど、まずはイベントに遊びに行き、新しい音を聴き、踊ること。それは普通のパーティーと同じ、最もシンプルなことだよね。そうすると、スクリーン上の出来事もわかるようになると思う。1つ重要な点を言い忘れていたんだけど、アルゴレイヴのイベントは音楽だけでなく、アルゴリズム的プロセスにより生まれる映像がある。つまり、音楽イベントというよりもオーディオビジュアル系イベントであり、映像が楽しめるのも大きな魅力だ。それは、一大スペクタルのように展開していくからね。音楽が難解にも関わらずアルゴレイヴが成功した理由の1つは、このビジュアル面にある。アルゴレイヴは新しい音楽分野であり、多くは新しいアーティストばかりだから今後もシーンにある種のインパクトを与えていくと思うよ

後編では日本のシーンやアルゴレイヴの始め方、さらには社会との関係性などを紹介。お楽しみに!

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※この記事は、2020年9月まで音楽メディア「PARTY CHANNEL」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。変更されている場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください

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