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【解説】歴史と現実から理想を語る!映画『ブラックパンサー』がもっと面白くなる3つのポイント

映画『ブラックパンサー』の魅力を3つのポイントから解説!

映画『ブラックパンサー』キービジュアル

©2018 MARVEL

3月20日(金)に、日本テレビ系・金曜ロードSHOW!にて『ブラックパンサー』が地上波初放送される。

2018年公開の本作は、同一世界でのヒーローの活躍を描くマーベル・シネマティック・ユニバースの第18作目。北米では興行収入ランキングで5週連続で首位を達成し、世界歴代では『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』をも超え12位の興行収入という、とんでもない記録を打ち立てた大ヒット作だ。

ここでは、本作をもっと面白く観られるかもしれない3つのポイントを解説していこう。

映画『ブラックパンサー』のあらすじ

アフリカの秘境にありながら、世界の誰もが創造出来ないような最新テクノロジーをもつ<超文明国ワカンダ>。ここには世界を変えてしまうほどのパワーを持つ鉱石<ヴィブラニウム>が存在する……。
突然の父の死によって王位を継いだティ・チャラは、この国の“秘密”を守る使命を背負うことになる。ヴィブラニウムが悪の手に奪われると、人類に未来はない――。“秘密”を狙う敵に立ち向かうのは若き国王。漆黒の戦闘スーツをまとい、ブラックパンサーとして戦うティ・チャラは、祖国を……そして世界を守ることができるのか?(公式より)

1:「もしもアフリカが植民地化もされず、資源の搾取もされていなかったら?」という“IF”を描いている

映画『ブラックパンサー』場面写真

©2018 MARVEL

『ブラックパンサー』は元々1966年に生まれた、アメリカン・コミック史上初となるアフリカ系のスーパーヒーローだ。まず、今回の実写映画版では、そのアフリカの過去を踏まえた設定があることを特筆しておきたい。

現実のアフリカには植民地支配をされてきた歴史がある。15世紀から17世紀にかけて様々な国がこぞってアフリカを植民地化し、欧米をはじめとする諸外国からその地の豊富な資源を狙われてきた。同時に、先住民たちが劣等な民族と見なされ、一方的に奴隷にされた歴史もある。植民地撤退された現在のアフリカでも、先進国に安値で資源を搾取されているという構図は、残念ながら存在しているのだという。

では、この映画『ブラックパンサー』での架空の国“ワカンダ王国”がどうなっているかと言えば……ジャングルに偽装したホログラフとバリヤーで国境の周りを覆って、明らかに外部から“隔離(鎖国)”をしている。さらにワカンダは表向きは農牧業を営む発展途上国に見えるが、実際は架空の希少鉱石“ヴィブラニウム”の研究を進め、独自に科学や医療などの文明を急速に進歩させていたのだ。

Black Panther

現実のアフリカは、皮肉にも資源が豊富であるがゆえに搾取の対象になっていた。しかし、『ブラックパンサー』におけるワカンダ王国は“資源のない小国”を装っていたおかげで、その搾取から逃れて驚異的な進歩と発展を遂げていた……つまり、『ブラックパンサー』は「もしもアフリカが植民地化もされず、資源の搾取もされていなかったら……」という“IF”の姿を、まるでパラレルワールドのように見せているということだ。

また、劇中のSF的な設定や戦闘用スーツなどのガジェットは荒唐無稽にも思えるところだが、現実でのアフリカのテクノロジー革命も世界的な注目を集めており、特に医療の分野では、モバイルデバイスで医師と遠隔でコミュニケーションが取れるプラットフォームの開発や、ドローンでの血液搬送も実施されているのだ。

『ブラックパンサー』は現実ではあり得ないスーパーヒーローの活躍を描いているようで、現実のアフリカの歴史に基づき、現実よりもさらに医療や科学の技術が進歩した“理想郷”をも示している、ということなのだ。

映画『ブラックパンサー』場面写真

©2018 MARVEL

実際の民族を反映した風土と、最先端を通り越して遠い未来のようなガジェットが融合した世界観は見ているだけで楽しいが、それ以上に「アフリカってこんなにすごいんだぞ!」と、その土地の豊かさや誇りを高らかに謳いあげている、それをもって現実のアフリカに住む人々やアフリカをルーツとする人々に夢と希望を与えようとしている、そんな志もある作品だったのだ。

とは言え、劇中のワカンダ王国は、技術を格段に進歩させる資源“ヴィブラニウム”を“独占”しているとも取れる。その土地の物質的な豊かさを、他に分け与えずに自分たちだけが利用できればいいのか、という問題も浮上してくるのだ。これについても、本編のラストでしっかり回答してみせるというのも、見事なものだ。

2:監督・ライアン・クーグラーの過去作を振り返ると、見えてくるものがある

マーベル・シネマティック・ユニバースでは、作品ごとに資質に合った実力派の監督を抜擢し、それが作風やクオリティ・メッセージ性に直結することがある。

わかりやすいのは17作目の『マイティ・ソー バトルロイヤル』で、こちらでメガホンを取ったタイカ・ワイティティ監督は過去に『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』というコメディ映画でも注目された。そのコメディセンスが存分に発揮されたために、『マイティ・ソー バトルロイヤル』はシリーズ中でも抜きん出て(起こっている出来事は悲惨なのに)ゲラゲラと笑いながら楽しめる快作へと仕上がっていたのである。

本作『ブラックパンサー』のライアン・クーグラー監督も、同様に「この作品にはこの人しかあり得ない」と思うほどの見事な采配だ。なぜなら、監督の過去作では“黒人が生きる現実社会の問題”が描かれており、その社会状況がキャラクター造形や物語に深く関わっていた。その作家性が見事に『ブラックパンサー』にも生かされていたと感じたからだ。

ライアン・クーグラー監督初の長編映画作品である『フルートベール駅で』は、2009年に起こった実際の出来事を題材としており、「なぜ無抵抗の黒人青年が警官に撃たれなければならなかったのか」という疑問に、真摯に向き合った物語だった。

フルートベール駅で(字幕版)

『フルートベール駅で』の舞台はカリフォルニア州のオークランド。『ブラックパンサー』の冒頭および回想として描かれるのも「オークランドでこれから犯罪をしようとしている男たち」の姿だった。
ライアン・クーグラー監督の出身地もオークランドであり、だからこそ、その場所の問題をリアルに描けたとも言える。
『ブラックパンサー』『フルートベール駅で』どちらの作品でも、生活のために犯罪に手を染めてしまうアメリカの黒人社会の貧しさがはっきり提示されているのである。

続く、ライアン・クーグラー監督による長編第2作『クリード チャンプを継ぐ男』は、誰もが知る『ロッキー』シリーズの新章として世に送り出されたボクシング映画だ。

クリード/チャンプを継ぐ男 (字幕版)

こちらの主人公は『フルートベール駅で』とはある意味で真逆で、豪邸に住み、安定した仕事に就けることが約束されているという、一見すれば“リア充”な男だ。しかし、彼には“恵まれすぎている”というコンプレックスがある。その姿は、『ブラックパンサー』の主人公・ティ・チャラが国王として葛藤する様、ライバルから“おぼっちゃま”だといじられる様を彷彿とさせるのである。

映画『ブラックパンサー』キービジュアル

©2018 MARVEL

さらに、『ブラックパンサー』における悪役のエリック・キルモンガーは、主人公・ティ・チャラとは正反対の「貧しさがゆえに犯罪や殺人に手を染めるしかなかった」と思わされる存在だ。どうしても感情移入してしまうのは、彼に“持たざる者のコンプレックス”があるからだろう。キルモンガーの幼少時に起こった出来事から、悪に染まってしまう結果が際立って悲劇的に思えるようになっている。

映画『ブラックパンサー』キービジュアル

©2018 MARVEL

ライアン・クーグラー監督は一貫して「現実の黒人社会が置かれている状況」を作品に反映しており、一方で貧しい者だけでなく富める者の葛藤も描いてきた。その作家性が通底しているからこそ、『ブラックパンサー』は人間味のあるキャラクターたちが織りなす、エモーショナルかつ社会派の一面も備えた映画になったということだ。

『フルートベール駅で』と『クリード チャンプを継ぐ男』を観たことがないという方は、この機会にぜひ鑑賞してほしい。どちらも作品としてのクオリティは折り紙つきであり、かつ「この監督だからこそ、この『ブラックパンサー』になっている」と実感できるからだ。(『ブラックパンサー』での悪役・キルモンガーを演じていた俳優マイケル・B・ジョーダンは、この前2作では主人公となっている)

また、『ブラックパンサー』の中盤、カジノ場でのアクションシーンの“長回し(擬似的なワンカット)”も、『クリード チャンプを継ぐ男』での主人公と相手ボクサーを交互に回転しながら撮影し、2ラウンドを一気に長回しで見せるという驚愕のシーンも彷彿とさせる。撮影監督の功績が大きいのはもちろんだが、アクションでもライアン・クーグラー監督の手腕がこれ以上なく発揮されたのだろう。

3:『ブラックパンサー』の物語は『ライオン・キング』にそっくり?

映画『ブラックパンサー』キービジュアル

©2018 MARVEL

『ブラックパンサー』は前述したように、アフリカの民族を反映した風土とSF的ガジェットが融合した世界観もあり、オリジナリティも存分にある作品だ。この作品にはとても類似している映画がある。それは1994年のディズニーのアニメ映画『ライオン・キング』だ。

ライオン・キング (字幕版)

© 2020 Disney

どちらも国王の息子が主人公で、悪役となるのはその親類(叔父orいとこ)。王位を奪われた王子は、再起を図るためにその地に戻り、対決をする……というプロットはかなり似ている。
さらに、『ブラックパンサー』では主人公のティ・チャラがハーブを飲み、夢の中で亡き父と再会するというシーンがあるのだが、これが『ライオン・キング』における主人公のシンバが父のムファサの幻を見るシーンとそっくりでもあるのだ。

『ブラックパンサー』は、特別な出自の主人公が流離を経て結末に至るという、『ライオン・キング』に代表される“貴種流離譚(きしゅりゅうりたん)”を現代のスーパーヒーロー映画として復活させた作品と言えるかもしれない(もっとも『ブラックパンサー』の流離のシーンはかなり短いが)。

この他にも、『ブラックパンサー』ではほんの少しだけ有名な映画の小ネタがある。
例えば、悪役のクロウが言う「“ボニーとクライド”ができなくなるぜ」というのは、『俺たちに明日はない』のモデルになった、銀行強盗や殺人を繰り返した実在のカップルのことを指している。また、若き天才科学者のシュリが兄のティ・チャラのために作った自動的に足を覆うハイテクブーツ(その名も“スニーカー”)は『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』の主人公が履いていたナイキのスニーカーがモチーフなのだという(シュリはこの時「パパが観てた昔のアメリカ映画」とも言っている)。

さらに余談だが、『ブラックパンサー』で前国王を演じたジョン・カニと、アヨという女性を演じたフローレンス・カサンバは、2019年の“超実写版”と銘打たれたフルCGのリメイク作『ライオン・キング』で、それぞれヒヒのラフィキ、ハイエナの女性リーダーのシェンジ役で声の出演をしている。

まとめ:『ブラックパンサー』は製作体制も含め偉大な作品である

映画『ブラックパンサー』場面写真

©2018 MARVEL

『ブラックパンサー』は、前述したようなアフリカの植民地化や搾取の歴史、黒人社会が直面する問題のほか、国家内の(違う部族との)内乱などの様々な要素を踏まえつつ、しっかり『ライオン・キング』に通ずるストレートな物語性も備えている。「政治的でありながら万人が楽しめるエンターテインメント」としてバランス良く仕上がった作品と言える。

スーパーヒーローが白人のキャラクターばかりだった過去からの脱却のように、憧れの対象であるスーパーヒーロー、もっと言えば“なりたいと思えるロールモデル”として、アフリカ系のキャラクターが活躍するということが何よりも偉大だ。
アフリカ系の人々だけでなく、似た境遇の方であれば主人公のティ・チャラや悪役のキルモンガーに感情移入ができるだろうし、誰にとっても、かつての歴史から間違いを学び、最善の道を見つけ出すティ・チャラは、国王という地位をおいても、理想的な人間としての姿として映るだろう。

映画『ブラックパンサー』キービジュアル

©2018 MARVEL

また、劇中に登場するCIAエージェントのエヴェレット・ロスは、戦いに巻き込まれつつも、善人として主人公たちの手助けをするという“白人代表”のような人物だ(一方ではクロウという白人の悪役もいる)。アフリカ系の人種でないという人にとっても自己を投影できるキャラクターが、しっかり活躍しているというわけだ。

そして、本作はライアン・クーグラー監督や共同脚本家の他、キャストの大半や主要スタッフの多くもアフリカ系という、ハリウッドの超大作としては異例の人員構成となっている。
しかも、衣装や美術監督や撮影監督などの重要なスタッフとして女性が大いに活躍しているのだ。さまざまな人種・性別が強くある、グローバリズムや多様性に基づいた価値観が、作品内物語に限らず製作体制にも反映されていたと言っていいだろう。

スーパーヒーロー映画は、ただエンターテイメントとして楽しめるというだけでなく、現実の社会問題が反映されていたり、人々に勇気と希望を与えるメッセージ性をも備えていることがままある。この『ブラックパンサー』はその代表であり理想形だ。ぜひ、これらのポイントも踏まえつつ、本作を繰り返して観て、さらなる魅力も発見してほしい。

映画『ブラックパンサー』地上波初放送

映画『ブラックパンサー』は、2020年3月20日(金)夜9時~ 日本テレビ系『金曜ロードSHOW!』にて地上波初放送※一部地域を除く
映画『ブラックパンサー』『ライオン・キング』は「ディズニーデラックス」でも配信中

参考記事:
米朝首脳会談にも影響? 映画『ブラックパンサー』のインパクト | 朝日新聞GLOBE+
映画『ブラックパンサー』が示す、アフロ・フューチャリズムという可能世界|Real Sound|リアルサウンド テック
メディアが伝えない、世界一豊かな大陸、アフリカ | NEUT Magazine

文=ヒナタカ
インディーズ映画や4DX上映やマンガの実写映画化作品などを応援している雑食系映画ライター。過去には“シネマズPLUS”で、現在は“ねとらぼ”や“ハーバー・ビジネス・オンライン”などで映画記事を執筆。“カゲヒナタの映画レビューブログ”も運営中。『君の名は。』や『ハウルの動く城』などの解説記事が検索上位にあることが数少ない自慢。
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Twitter:@HinatakaJeF

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