可愛いデコラティブワールドへ! ファッションアーティスト・millnaさんのお部屋探訪
大きく渦を巻くような「デコラティブな部屋」へようこそ
さて、話を部屋に戻そう。
一人暮らし2軒目になるこの部屋は、1LDKの1部屋を制作&作業部屋に充て、リビングをデコラティブに装飾してプライベートな空間に造りこんだ。もう空前絶後の空気感・世界観なのである。本人は「まだまだ」と謙遜するが、入った瞬間にこの世界に根こそぎ持っていかれる磁力がある。
「とりあえずはドールハウスをテーマに仕上げていますが、いずれは“ジュエルや宝石のような部屋”を目指して、さらに完成度を上げていく予定」と意気込む。
部屋は可愛いもの・美しいものに溢れ、フリフリ・ふわふわしているが、気をつけているのは、「ただのお姫様部屋にしないこと」。アンティークっぽさ、落ち着いた色使いには細心の注意を払っている。
市販品に満足しなければ、手作りもする。例えば、ひときわ目を引く枕元の天蓋も…「市販品を探しましたが、布をケチっている感じで可愛くなかった。なので通販で購入した日傘に、生地の卸で有名な日暮里で大量購入した白い布をたっぷりギャザーを寄せて満足のいく天蓋を作りました」と微笑む。
部屋の印象をガラリと変える必須アイテムのシャンデリアも、「古い喫茶店の雰囲気とキラキラ感を同時に出したくて」と代官山のシャンデリア専門ショップで購入。傘の部分は個人輸入をして取り付けたという凝りようだ。
家具類は、納得するまで根気強く探して決して妥協しない。お気に入りのライティングデスクに合うチェアも、「机に合うデザイン・回転する・高さが変えられる」という条件で探し続け、渋谷で見つけた時には瞬時に購入した。
美意識の結晶であり、「好きなものに囲まれていたい」というこだわりの発露でもあるmillnaさんの部屋。
今後着手するのは、天井だという。
「天井の装飾は部屋のクオリティを大きく左右するので、絶対に作り込みたい。ただ今度の部屋は釘や鋲が勝手に打てないので、工夫どころでもあるんです」と頭を捻る。
「映え文化」の総本山、中国の映えグッズを上手に利用
意外に思うかもしれないが、この部屋のグッズの多くが中国から上陸したもの。何を隠そう中国は、「映え文化」が非常に発達していて、日本ではなかなかお目にかかれないガーリー&キュートなものに溢れているという。
部屋の隅々まで行き渡るmillna風味のインテリアを真似したい人は必見!数々の映えグッズをご紹介していこう。
まずはフリフリレースのベッドスカート。日常感が出てしまいがちなベッド下は、ベッドスカートで隠すべき場所No. 1。このあたりを疎かにしないことが、部屋の完成度を左右する。
ちなみにシャンデリアの中央に下げられたハート型のチャームとフリンジも中国製。シャンデリアに頭をぶつける人が多いので目印にしているという。
このゴージャスなエアコン・カバーも中国製。無機質で味気ないエアコンも、これなら使用しない期間も肩身の狭い思いをさせずにいられる。
デスクを飾るサーモンピンクのダチョウの羽も中国で購入したもの。憂のある表情の人形を引き立てる完璧な役回り。
最近、自ら手作りしていたアクセサリーブランドの商品制作が追いつかなくなってきたというmillnaさん。
ようやく海外の工場との生産取引が始まって中国にも出向くことが多くなり、これらの「映えグッズ」の調達も容易になってきたのだという。
今後の活動について尋ねると、「私個人のハンドメイドではできなかったものが作りたい。海外工場と企画・制作することで今の頻繁な完売も減らせますし、みなさんにもっと気軽に手に取って頂けるよう取扱店舗もまた増やしていく予定。きちんと企業ブランドとしてやっていきたい」と抱負を語った。
美意識・センス・技術・モチベーションを兼ね備えたクリエイターだけが進める道を、軽やかに邁進するmillnaさん。
「好きなものを突き詰めていたら、いつの間にかこうなった」とサラリと語るが、心に浮かぶ“好きなもの”を具現化できる人が一体どれくらいいるだろう。
ただのゴスロリ好き、可愛いもの好き女子のデコラティブな部屋で片付けられないmillnaさんのお部屋。こちらがたじろぐほどの美の哲学が、ビッシリと詰まっていた。
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文=元井朋子
写真=編集部