新紙幣に選ばれた北里柴三郎・津田梅子・渋沢栄一はどんな人物?伝記本とともに生涯と功績を解説

公開日:2019年9月5日

新紙幣の肖像画に選ばれた3人は、どんな人物?生涯と功績を伝記本から知る

先日発表され、大きな話題を呼んだ新紙幣発行のニュース。2024年上半期を目処に新しい紙幣が発行されることになったが、肖像画に選ばれた3人のことをあなたはどのくらい知っているだろうか? 

注目度が高まるこの機会、せっかくなので北里柴三郎・津田梅子・渋沢栄一の生涯と偉業を知ることができる本を紹介する。これらの本を読めば実際に紙幣を手にしたとき、ちょっと親しみが湧いてくるかもしれない。

肖像画の3人の伝記本を紹介する前に!2024年に発行される新紙幣の特徴とは

2024年に発行される新紙幣は、ユニバーサルデザインにこだわっている点が特徴だ。紙幣ごとの判別がしやすいように、従来よりも数字が大きくデザインされている。さらに千円札は青系統、五千円札は紫系統、一万円札は茶系統というように、紙幣の色合いに差をつけている点も見逃せない。

また紙幣が定期的に刷新されるのは、偽造紙幣対策のひとつと言われている。2024年の新紙幣にも高度な偽造紙幣対策が施されており、最新のテクノロジーを駆使したホログラムの採用や、精度の高い透かし技術の導入など、さまざまな工夫が凝らされている。

新紙幣の発行に伴って、全国の自動販売機やATMなどを新紙幣対応のものに変えなければならない。前回2004年の新紙幣発行時には、自動販売機の対応が間に合わず混乱を招いたため、その反省が活かされて今回のような早期の発表につながったのかもしれない。

新紙幣、千円札の人物「北里柴三郎」の伝記本『北里柴三郎(上)-雷と呼ばれた男 新装版』山崎 光夫

北里柴三郎(上)-雷と呼ばれた男 新装版 (中公文庫 (や32-5))

新しく千円札に選ばれたのは、「近代日本医学の父」と呼ばれる北里柴三郎。ペスト菌を発見しただけでなく、破傷風の治療法を開発するなど、感染症医学の発展に貢献した人物だ。私たちが今受けられている医療も、彼の発見や功績が礎になっている部分があるといっても過言ではないはず。

この本は上・下巻の2冊にわたり、北里柴三郎の生涯を描いていく。決して聖人君子ではなく、ときに熊本弁丸出しで怒る北里の姿がなんとも人間らしい。また、北里が生まれたのは1853年の江戸末期。つまり、彼が生まれてから思春期までの時期は、まさに明治維新の真っ只中と言える。

上巻には若き北里の姿と、その時代の有名人たちの名前も登場する。まさに歴史の邂逅という雰囲気でそれも面白い。ちなみに登場人物の中には「森林太郎」の名前もあり、日本文学好きならここも面白いはず。

そう、森鴎外だ。
下巻になると、ペストとの戦い、そして学閥の紛争に巻き込まれていく様が描かれる。ここもまた、実際の研究とはきれいごとだけではいかないのだろうなと思わせる生々しさが読み取れる。

それでも諦めず、日本人初のノーベル賞候補とまでなる姿……その姿に苦難を乗り越える勇気をもらえるような、そんな作品だ。

「近代日本医学の父」北里柴三郎にちなんで、医療コラムをチェックしてみよう!

新紙幣、五千円札の人物「津田梅子」の伝記本『津田梅子』大庭みな子

津田梅子 (朝日文庫)

新たな五千円札の肖像となる津田梅子の名前は、「津田塾大学の創始者」と言えばすぐにわかる人も多いかもしれない。日本初の女子留学生としてアメリカに11年滞在し、帰国後は日本の女子教育に身を捧げた津田梅子。

この本は、津田塾大学で発見された膨大な量の手紙を紐解きながら、その生涯を追いかけた伝記文学であり、読売文学賞も受賞した1冊だ。ちなみに作者である小説家・大庭みな子も、津田塾大学卒。

この本の最大の特徴は、実際の梅子の日記や手紙をもとに物語が紡がれていくところだろう。アメリカに渡ったときはなんとわずか6歳だった梅子。そこから11年間をアメリカで過ごし、帰国途中の船の中で書かれた手紙から物語はスタートする。

まだ女性の地位が低かった時代に、留学を経験した梅子ならではの視点が手紙の中に詰まっている。

彼女の“生の言葉”の力強さに、今を生きる女性も励まされるのではないだろうか。

津田梅子が創設した津田塾大学がある、小平市の街歩きレポートをチェックしてみよう!

新紙幣、一万円札の人物「渋沢栄一」の伝記本『渋沢栄一 「日本近代資本主義の父」の生涯』今井 博昭

渋沢栄一 「日本近代資本主義の父」の生涯 (幻冬舎新書)

新たな1万円札の肖像となるのは、渋沢栄一。2021年に放映されたNHK大河ドラマ「青天を衝け」ですっかりおなじみとなったが、それ以前は今回の3人の中で一番「知らなかった」という人が多かった人物ではないだろうか。日本国民の多くが彼の残した業績に何らかの形で触れているはず……そんな人物と言えるだろう。

一言で言えば「実業家」であり、第一国立銀行(現在のみずほ銀行)や王子製紙、東京瓦斯(現東京ガス)、大阪紡績など約500もの会社の立ち上げに関わった渋沢。ちなみに東京に住んでいれば、東急田園都市線沿線の開発のほか、渋谷周辺に数多く立ち並ぶ東急グループのビル光景は馴染み深い人も多いと思うが、東急の母体となったのも渋沢の設立した田園都市株式会社である。

この本は、そんな渋沢の生涯を描いた1冊である。農民の家に生まれながらも25歳で一橋慶喜に仕え、幕臣としてパリ万国博覧会へ派遣された渋沢。近代ヨーロッパの列強を見聞中に明治維新を迎え、仕えていた徳川幕府が消滅。

帰国し大蔵省(現在の財務省の前身)の官僚を経て、34歳で念願の実業界に転身する。最初に紹介した北里もそうだが、彼が生きたのもまさに激動の時代。その荒波を乗り越えていく姿は、なんともエネルギッシュでワクワクしてしまう。
新書なので読みやすく、躍動感あふれる描写も魅力的な1冊。今の時代を懸命に生きるビジネスマンの教科書ともなりそうだ。

渋沢栄一の故郷、埼玉県深谷市のおすすめスポットをチェックしてみよう

新紙幣の人物には、どんな選定基準がある?

財務省は新紙幣に描かれる人物の選定基準として、以下の3つを挙げている。

  • 偽造防止のため、精密な写真を入手できる
  • 品格のある肖像である
  • 人物が国民に広く知られ、その業績が認められている

2024年の新紙幣に採用された3人の人物はこの3つの選定基準をクリアしているほか、3人はそれぞれの分野で大きな業績を残し、現代の私たちを支える環境構築に大きく貢献しているという共通点があるとされている。このように、3人とも日本国民が毎日目にする人としてふさわしいと判断されたため、新紙幣の人物に選定されたのだろう。

新紙幣の人物を紐解けば、日本の歴史が見えてくる

今回肖像画に選ばれた3人は、医療・教育・経済と、それぞれの分野で大きな功績を遂げた人物。この3人の過去を知れば、日常の見え方が少し変わってくるかもしれない。

文=川口 有紀

ライター、編集者。演劇雑誌の編集部員を経てフリーに。 現在は主に演劇、映画、芸能、サブカルチャーの分野で取材・執筆活動中。

2022年1月加筆=CHINTAI情報局編集部

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CHINTAI編集部ライフスタイル担当
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