角部屋を検討しているなら!知っておくべきメリット・デメリットと防犯対策
角部屋の住み心地とは?リアルなイメージをつかもう

あなたは、賃貸アパートやマンションを探すとき「住むなら角部屋がいいな」と思ったことはないだろうか?戸数の限られた角部屋は人気があり、特別感がある。
本記事では、角部屋に暮らす7つのメリットを紹介。また、イメージだけにつられて暮らし始めてから後悔しないよう、角部屋の見落としがちなデメリットについても解説する。
このページの目次
角部屋とは
まずは「角部屋」の意味を正しく理解しておこう。角部屋とは、マンションやアパートの各階の端に位置する部屋のことだ。
角部屋には2種類ある。一つは各階の廊下の端に位置し、片側のみが隣室と接する部屋。もう一つは、建物がL字に屈折している場合の屈折部分にある部屋を指す。
ほかの住戸と接する面積が少ない点、また、建物の端に位置するため、複数の方角に窓を設けることができる点が大きな特徴だ。これら角部屋ならではの2つの特徴が、住人に多くのメリットをもたらすのだ。
ちなみに「角部屋」の対義語として、両側に隣接する住戸がある物件を「中部屋」または「中住戸」と呼ぶ。
魅力がたくさん! 角部屋に住む7つのメリット
角部屋の7つのメリットについて、順を追って見ていこう。
角部屋のメリット①:隣り合う住戸との騒音問題が少ない

「角部屋のメリット」といえば、多くの人が思い浮かべるのが「生活音が伝わりにくいこと」ではないだろうか。角部屋の大きな特徴は、他の住戸との接地面が少ないという点。単純に考えれば、両側が他の住戸と接している物件に比べ、角部屋へ響いてくる隣人の生活音は半分になる。
また角部屋に住むことで、逆に自身の生活音によって隣人とトラブルが起こるリスクも軽減することができるだろう。
アパートやマンションといった賃貸物件におけるトラブルの中で、特に多いのが騒音に関するトラブルだ。騒音と感じる基準は人それぞれで、さらにその原因も特定しづらいといわれている。隣室との接地面が少ない角部屋なら、そういった騒音トラブルの可能性を減らすことができる。
角部屋のメリット②:玄関前の人の行き来が少ない

マンションなどの集合住宅では、住人以外にも宅配ドライバーや管理人、点検スタッフの方など共用廊下を通行する人が意外と多い。
共用廊下の一番奥に位置するタイプの角部屋に住めば、ほかの住戸へ行き来する人々の通り道にならず、自宅玄関前を通る人が少なくなり、プライバシーを確保しやすくなる。廊下側の部屋が寝室になっている物件の場合、「廊下を歩く足音で、夜なかなか眠れない」といった悩みからも解放されるだろう。
しかし逆に、エントランスから見て、共用廊下の一番手前に位置するタイプの角部屋は、「玄関前の人の行き来が少ない」というメリットは得られないので注意が必要だ。
角部屋のメリット③:眺望が良く、開放感がある

角部屋では隣接する住戸が片側にしかないため、窓を複数の方角に設けることができる。このため、別方向につく窓から2つの景色を楽しむことができるのが大きなメリットといえるだろう。
窓から見える風景のおかげで部屋に奥行きと広さが感じられる。特に高層階の角部屋では、眺望の良さをより満喫できる。
角部屋のメリット④:採光面が多く日当たりが良い

角部屋では、方角の違う2面に窓が配置されていることが多い。このため、複数の方角から部屋へ日光を採り入れることができるのもメリット。日当たりが良く、部屋全体が明るくなる。
ただし、窓の方角や周辺環境によっては、角部屋であっても日当たりが良いとは限らない。部屋の内見に行く際は自分が在宅する時間帯に内見をし、日当たりを把握しておくのがおすすめだ。
角部屋のメリット⑤:風通し・通気性が良い
角部屋では窓が2面以上あることが多いため、中部屋に比べて開口部が多く、換気がしやすい。窓を数ヶ所開けると風の通り道を作ることができるため、効率的な換気ができる。洗濯物を部屋干しにしていても、風通しが良ければ比較的短時間で乾かせる。
また、浴室など湿気が溜まりやすい箇所に窓がある物件なら、カビが生えにくくなるというメリットも感じることができるだろう。
角部屋のメリット⑥:ベランダが複数ついている場合がある

建物の角に位置する角部屋では、ベランダ・バルコニーが2つの方角についている物件もある。ベランダが複数あれば、洗濯物を干す以外にも、ガーデニングや家庭菜園を楽しむなど使い道が広がるだろう。
複数のベランダがある場合は、リビング側のベランダをガーデニングや家庭菜園用に特化させると、来客にも見てもらいやすくなり、会話の幅が広がるかもしれない。
ひとつ注意しなければいけないのは、ベランダは共用部ということだ。緊急時に道を塞ぐような配置はもちろんNGだ。契約時の規約を遵守したうえでベランダでのガーデニングや家庭菜園を行おう。
角部屋のメリット⑦:部屋が広い場合がある
角部屋は建物の端に位置する関係で、部屋が広い・部屋数が多い・収納スペースが多いなど中部屋と違った特別な間取りになっている場合がある。
このような理由から、居住スペースを広く使いたいと考えている人に向いている部屋といわれている。同じ建物内で複数の物件が空室となっている場合には、ぜひ中部屋と角部屋の間取りを見比べて検討してみると良いだろう。
知っておくべき、角部屋の6つのデメリット
多くのメリットがあり、人気も高い角部屋。しかしメリットがあれば、逆にデメリットもある。入居後に後悔しないために、角部屋のデメリットについてもしっかり理解しておこう。
角部屋のデメリットその①:物件の家賃が高め
角部屋は、同じ物件・同じ階にある中部屋に比べて家賃が高めに設定されることが多い。角部屋は中部屋よりも数が少なく、希少価値が高い。また、これまで解説してきたようにメリットも多く、快適なイメージがあるので人気も集まりやすいのだ。
角部屋への入居を検討する場合は、同タイプのほかの部屋の家賃とよく比較・検討すると良いだろう。
角部屋のデメリットその②:夏は暑く冬は寒いことが多い

部屋の2面が外気に接する角部屋では、夏は暑く、冬は寒くなりやすいというデメリットがある。壁と比べ、窓は断熱効果が低い。このため、角部屋は外気の影響を受けやすいのだ。
日当たりが良い分、夏は室温が上がりがち。また冬の場合、中部屋が上下左右の住戸に囲まれているのに対し、角部屋は暖房の熱が窓から外に逃げやすく冷えやすいのだ。
さらに、角部屋特有の暑さ・寒さの対策として、冷暖房のための電気代が高くなりやすい。夏は冷房、そして冬は暖房をより強い設定で稼働させるケースも増えてしまう。できるだけ生活費を節約したい人にとっては電気代の負担が大きく感じられるかもしれない。
なお、角部屋であっても壁や窓の素材によっては、断熱性が高い物件もある。気になる場合は入居前に不動産会社の担当者に聞いたり、内見時に壁や窓の素材を実際に確認してみると良いだろう。
角部屋のデメリットその③:家具の配置に苦労する
角部屋は、窓が多く壁面が少ない。長方形や正方形な部屋が多い中部屋と違い、カーブや斜めの壁があったり、柱などの突出部があったりと変則的な部屋の形をした物件もある。このため、背の高い家具やカーペットの配置に苦労する場合もある。
窓側に背の高い家具を置いてしまうと、窓を塞ぐことになり、せっかくの角部屋のメリットを感じられなくなってしまう。ワンルームや1Kなど比較的狭い物件の場合、家具の配置が限定されて窮屈な思いをするかもしれない。
また窓が多い角部屋では、カーテンもたくさん必要となる。
内見時に部屋の採寸を細かくメモし、手持ちの家具が置けるかどうかなど、インテリアの配置は入居前から考えておこう。
角部屋のデメリットその④:外からの視線が気になる場合がある

特に都心部にある物件では、建物が密集していて隣の建物との距離が近い場合が多い。その際、角部屋では隣接する建物からの視線が気になる場合もある。目隠しのためにレースのカーテンを閉めていても、部屋の中からは外の動きが見えてしまうこともあり、人によっては落ち着かない場合がある。
特に女性の一人暮らしでは、内見の際に外からの視線が気にならないかどうかをしっかりチェックしておく必要があるだろう。
角部屋のデメリットその⑤:建物外からの騒音・自然音が気になりやすい

壁面に比べて窓の部分は薄くなっているため、室外からの騒音で悩んでしまうかもしれない。特に、居室の窓が大通りに面していると、通行人のノイズ、駐車場での車のエンジン音などが響きやすい。高層階では風の音が気になることも……。
内見では、物件に防音対策がなされているか、二重サッシがあるかをチェックしておこう。多少の音であればさほど気にならないだろう。
角部屋のデメリットその⑥:犯罪の標的にされやすい場合がある
角部屋は廊下の奥まった場所にある場合があり、ほかの住人の目に触れにくい。そのため、空き巣といった犯罪の標的にされやすい場合があることを理解しておこう。
特に1階の角部屋は注意が必要で、たとえば空き巣が侵入してきた場合、窓から逃げられてしまう可能性がある。1階の角部屋への入居を考える場合は、防犯面のことも考慮して決めてほしい。
入居前に死角となりやすい場所がないかを確認するほか、窓にシャッターがついている物件も有効だ。また、入居後は防犯アラームやセンサーライト、ガラスが割れにくくなるフィルムなどを取り付けると防犯に役立つ。詳しい防犯対策については後述するので、ぜひ参考にしてほしい。
角部屋が向いている人・向いていない人
さまざまなメリットやデメリットを持つ角部屋。向いている人・向いていない人の特徴は以下のとおりだ。
〈角部屋が向いている人〉
- 隣の住戸との騒音トラブルを避けたい人
- プライバシーを守りたい人
- 日当たりや風通しの良さを求めている人
〈角部屋が向いていない人〉
- できるだけ家賃を抑えたい人
- 家具のレイアウトにこだわりたい人
- 防犯面に大きな不安を抱えている人
角部屋は、隣室からの騒音を低減したい人やプライバシーを大事にしている人におすすめだ。また、日当たりや風通しなど、快適な居住空間を求めている人にも適している。
ただし、角部屋は中部屋と比べて家賃が高いことも珍しくなく、できるだけ家賃を抑えたいと考えている人には向いていない。また、比較的特殊な間取りが多いため、家具のレイアウトにも苦労することも。
そして、防犯面の不安もあるため、特に女性の一人暮らしの場合、1階の角部屋に住むのは避けた方が無難かもしれない。
角部屋で怖い思いをしないために必ず防犯対策を!
人気の高い角部屋だが、デメリットで紹介したように、空き巣のような犯罪に狙われやすい傾向があるため防犯対策は必須だ。中部屋とは違い、角部屋のベランダには雨どいが通っていることが多い。不審者はその雨どいを上って、部屋に侵入することも可能になる。
「1階ではないから大丈夫」と油断せずに、玄関や窓の施錠を習慣づけよう。空き巣や押し込み強盗などの犯罪に巻き込まれないために、角部屋に住むときの防犯対策を紹介する。
角部屋の防犯対策① 窓ロック
空き巣の侵入経路は、その半数以上が窓からであるといわれている。不審者の侵入を防ぐために、窓の防犯対策は欠かせない。そこで、手軽に取り付けられる窓ロックを活用して、窓自体を開けられないようにしよう。
窓ロックは、釘や接着剤なども必要ないので簡単に取り付けられる。値段も比較的リーズナブルなため、自分に合ったものを使って窓の安全性を高めよう。
角部屋の防犯対策② シャッター
次に窓の防犯対策に取り入れたいのがシャッターだ。窓から中の様子を覗かれないので、自分の生活パターンはもちろん、不在かどうかさえも不審者に知られる心配がなくなる。シャッターを閉めておけば、入りにくそうと思わせる効果も期待できるだろう。
また、元々シャッターがついていない部屋の場合、後付けができる場合もある。シャッターの後付けを希望するときは、必ず事前に大家さんや不動産会社に相談しよう。
角部屋の防犯対策③ 防犯アラーム
万が一不審者に鍵を外されたとしても、窓を開けようとするのを防いでくれるアイテムが防犯アラームだ。窓の開閉をするとセンサーが反応し、アラームが鳴るので窓を守るのに最適。窓のガラスを壊したり、窓を開けようとしたりするなどの振動を感知すると、大音量のアラームが鳴り響く。
さらに、アラームの裏側がアラームが鳴ることを知らせる警告ステッカーになっている商品もあるので、貼り付けるだけでも心強いだろう。数千円程度で購入できて、窓に貼り付けスイッチをONにするだけで作動するので設置しやすいのもポイント。
角部屋の防犯対策④ 窓フィルム
空き巣は人目を避けるので、侵入に時間がかかる住宅を避ける傾向がある。侵入に5分以上かかると、約7割の空き巣が犯行を断念するといわれるほどだ。簡単に窓を開けさせないために、窓フィルムを貼るのもおすすめ。
窓フィルムを貼った窓ガラスは強度が高く、多少のヒビは入るものの、ガラスが散らばらずに窓枠に残るため、窓に穴が空きにくい仕組みになっている。ただし、一度貼るとはがすことができない場合が多いので、大家さんや不動産会社に確認してから設置することをおすすめする。
角部屋の防犯対策⑤ 砂利を敷く・センサーライト設置
窓以外の防犯対策に取り入れたいのが、砂利やセンサーライトだ。マンションのベランダに砂利を敷いたり、センサーライトが設置されていたりすると、不審者の侵入を抑制する効果が期待できる。
空き巣は足音が鳴るのを嫌がるので、砂利を敷くと、防犯につながる可能性が高い。また、センサーライトは周囲の人にも不審者の存在を知らせることができる。ただし、やはり設置可能かどうかを大家さんや不動産会社に確認してみよう。
同じ角部屋でも、最上階と1階では大きな違いがある
上記は角部屋の一般的な特徴だ。実は、同じ建物の角部屋同士でも、階数が変われば事情が変わる。
たとえば、最上階の角部屋は、上階がないので影響のある生活音が少なく、静かに暮らせるうえに、日当たりや風通しも良い。しかし、外気に触れる屋根と直結なので、夏の暑さと冬の寒さはほかの階の角部屋以上に厳しく感じられるだろう。
一方、1階の角部屋は高層階の角部屋よりも家賃が低く設定されていることが多い。その反面、上層階より日当たり・風通しは劣り、防犯面で不安を感じる人もいるかもしれない。
このように、同じ角部屋でも個々の物件によって違った特徴があることを頭に入れておきたい。
メリット・デメリットを知ったうえで角部屋への入居を検討しよう!
「角部屋のメリットとデメリット」や「角部屋と中部屋の違い」はコインのように表裏一体となったものだ。何らかのメリットを重視するならば、ほかの何かを妥協しなくてはならないことが多い。
角部屋のメリット・デメリットが自分の生活スタイルに合っているか、比較検討して入居するかどうかを判断しよう。隣室との騒音トラブルを可能な限り避けて静かに暮らしたい人、プライバシーに配慮した生活を送りたい人は、角部屋に住むことで大きなメリットを感じられるだろう。
断熱対策や防犯対策などに力を入れつつ、快適な角部屋ライフを楽しんでほしい。
文=明石 白(株式会社YOSCA)
2022年4月加筆=CHINTAI情報局編集部