ALVA NOTO、RICHIE HAWTINが魅せた最先端ライヴ、未知なる未来の形
日本では実現不可能と言われていたRICHIE のCLOSE
Richie Hawtin(リッチー・ホウティン)とALVA NOTO(アルヴァ・ノト)、2人の鬼才が最新のライヴ(それも世界中で話題のオーディオヴィジュアルライヴ)を披露するとあって開催前から大きな話題となっていた「MIRAI TOKYO」。それだけに、当日も会場には3000人以上のオーディエンスが詰めかけた。
まずはISHIJIMA、そしてAkiko KiyamaによるプロジェクトAalkoのライヴでオーディエンスをミニマル〜テクノ、深淵なる電子音楽の世界へとトリップ。そうして会場にはいい感じの空気が充満したところで、いよいよALVA NOTOがステージへ。
この日は、普段はお目にかかることができない大型のLEDビジョンやライティングが用意され、視覚的にも圧倒されっぱなしの連続だったけど、ALVA NOTOはそれに負けないサウンドというか、互いに補完し合いながら重厚かつダイナミックな世界観を表現。音と光が感覚器官から体にするっと入り込み、その波動が徐々にオーディエンスを支配していき、フロアはいつしかひとつの塊に。ひとりひとりはバラバラなんだけど、そのうごめく集合体がなんとも生々しく、心地よい、えも言われぬ光景が広がっていた。
そして、Richie Hawtin。
すでに全世界で披露され、絶賛の嵐が吹き荒れているオーディオヴィジュアルライヴ「CLOSE – Spontaneity & Synchronicity」。それは膨大な機材とステージセットが必要なため日本では実現不可能とも言われていたのだが……。蓋を開けてみれば、それも頷ける圧倒的なステージだった。
昨今のフェスによく見るような華美な装飾うんぬんというわけではないが、ステージ上に描かれる様はとにかく圧巻、未知なる世界。機材に取り付けられた無数のカメラで捉えたRichie Hawtinの姿がスクリーンに随時投写され、それがなんともリアルでドラマティック。音を生み出す張本人がビジュアライズされているだけに、音と映像のシンクロ率は当然凄まじく、刺激的。ある種、Richie Hawtinの動きを俯瞰して見ながら彼のパフォーマンスを疑似体験しているかのような感覚さえ覚えるほど。
片時も目が離せない怒濤のライヴのラスト、アンコールにはPlastikman(プラスティックマン)名義の名曲“Spastik”を披露するというファンには垂涎もののひと時だったが、終わってみればライヴという生感覚にさらなる要素が加わった、まさに最先端と言えるとても素晴らしい体験だった。
「 “未来”という想像力が宇宙レベルで拡がりテクノロジーという創造力が “今日”という境界線でエレクトロニック・ミュージックの先端へ没入する」、まさのその触れ込み通りだった「MIRAI TOKYO」。テクノロジーが生み出す未来、さらなる表現がより楽しみになったし、エレクトロニック・ミュージックの先端を垣間見ることができた。ぜひ第二回も期待したい!
※この記事は、2020年9月まで音楽メディア「PARTY CHANNEL」で掲載されていた内容を、公式に転載したものです。
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