【皮膚科医が解説】二の腕のブツブツの原因と自宅でできるケア
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二の腕のブツブツ、きれいにしたいなら焦りは禁物

二の腕にできるブツブツ。「気になるので薄着ができない」「どうケアしていいかわからない」など悩んでいる人もいるはず。
そこで今回は「成増駅前かわい皮膚科」の河合徹院長の監修のもと、二の腕にできるブツブツの特徴、自宅でできるケア方法を詳しく紹介する。

あせってアカスリなどでゴシゴシ擦ることで解決しようとしても、皮膚が刺激を受けてかえって逆効果です。正しいケアの方法を知りましょう!
※この記事は、2018年10月に公開した記事を医師の監修のもと更新したものです
二の腕のブツブツの正体は「毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)」かも
まずは、二の腕のブツブツの正体から理解を深めていこう。二の腕のブツブツはまたの名を「サメ肌」と呼ぶ。しかし、サメ肌と呼ばれる医学用語はない。多くの場合は「毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)※もしくは毛孔角化症」という皮膚疾患だと考えられている。
毛孔性苔癬の具体的な症状は後述するが、おおまかに説明すると「皮膚表面の角質が固まり、ブツブツ・ザラザラした発疹が現れる」のが特徴だ。10〜20代に多く見られ、とくに思春期の頃に目立つようになる。
ただし、年齢とともに症状が落ち着き、30代を過ぎるとほとんど目立たなくなるといわれている。なぜ毛孔性苔癬が二の腕にできるのか、現時点では解明されていない。遺伝的要因、もしくはホルモンバランスが関係しているのではないかと言われている。
毛孔性苔癬の主な症状
毛孔性苔癬とは毛穴にブツブツした発疹ができる皮膚疾患で、触るとザラザラしていることが特徴的。痛みもなく年齢を重ねれば自然に治るため、基本的には急な治療が必要な皮膚疾患ではない。発疹の大きさは、およそ1~3mmにもおよび、発症した毛穴は徐々に広がっていく。またそのまま放置すると、色素沈着につながり肌が黒ずんでしまうこともある。そのため、跡になることを防ぎたい場合は、できるかぎり早めに対処したほうがいいだろう。
また、毛孔性苔癬は「顔面毛包性紅斑黒皮症」という別の皮膚疾患の原因になる可能性もある。顔面毛包性紅斑黒皮症は、青年期の男性に発症するケースが多く、毛孔性苔癬と同じように年齢を重ねれば自然に治る皮膚疾患で、すぐに治療が必要なわけではない。しかし、耳から頬あたりの顔の目立つところが赤くなるため、気になってしまう人も多い。
二の腕の毛孔性苔癬を放置して毛穴が広がると、色素沈着を起こすだけではなく、顔面毛包性紅斑黒皮症などその他の症状につながる場合がある。さらに広範囲の肌に悪影響を与えることになるので注意が必要だ。
毛孔性苔癬の注意点
毛孔性苔癬は二の腕以外にも、肩や背中(肩甲骨部あたりの背部)、おしり、太ももにも発症する可能性がある。また珍しいケースにはなるが、体幹や四肢遠位(手足の体幹から離れた側)に発症することも頭に入れておいてほしい。もっとも発症しやすいのが二の腕というだけで、広範囲に発症する恐れがある皮膚疾患ということだ。
そのブツブツ、ほかの症状が隠れているかも?
河合先生によると、二の腕のブツブツの多くは毛孔性苔癬なのだが、重症ニキビや、稀に皮膚の悪性腫瘍(皮膚がん)の可能性もあるとのこと。
重症ニキビは胸・背中・二の腕に症状が広がることがあります。治療には、ニキビの塗り薬や飲み薬を組み合わせることが多いです。医師に相談しましょう!
皮膚がんの場合は顔、首、体、腕などを中心にブツブツが出ることがあり、診断には特殊な検査が必要だという。腕以外にブツブツが広がってくる場合は、早めに皮膚科専門医の診察を受けるようにしよう。
早く治したい。二の腕のブツブツを解消する方法

仮に二の腕のブツブツが毛孔性苔癬だとして、年齢とともに自然に治っていくことがわかっていても、肌が露出している部分に発症した場合は「早く治したい!」と考える人も多いだろう。
二の腕にブツブツができた場合は、早めに対処することで十分に改善が見込める。注意したいのは、爪で引っ掻いたりそのまま放置したりすること。ブツブツを解消したい人は、これから紹介する2つのポイントを意識して早めにケアをしていこう。
スクラブなどをおすすめする情報も多いようですが、スクラブ入りの洗顔料は摩擦が増えて症状が悪化する可能性が高いので、推奨しません。体を洗う際も、できるだけ肌への刺激を抑えるようにしましょう。
➀汚れをやさしく落とす
ブツブツを解消したいなら、肌のターンオーバーを正常にするために古い角質を落とすのが効果的である。手が直接触れて肌を刺激しないよう、たっぷりの泡で洗い流そう。
洗い終わったあとも、手が触れないようにタオルで優しく拭こう。ごしごし拭いたり、爪で引っ掻いたりすると、色素沈着で跡に残る可能性があるので、十分注意が必要だ。
なお、ピーリング効果があるフルーツ酸のスキンケアも導入すれば、硬くなってしまった角質も取り除けるためおすすめだ。フルーツ酸は肌に比較的優しい成分なので、肌が弱めな人でも試しやすい。使用する際は、肌のターンオーバーに合わせて、1ヶ月に1回を目安にケアするといいだろう。
②保湿をしっかりする
ブツブツになった肌は、乾燥している場合が多いので保湿をすれば症状を緩和させられる。とくに乾燥しやすい入浴後は、どれだけ保湿できるかがブツブツ解消の重要なポイントだ。
また、冬場は空気が乾燥しているため、どうしても肌の水分量が低下し角質化しやすい。そのため、化粧水や保湿クリームを塗ったり、加湿器の導入をしたりして対処しよう。
この機会に保湿ケアを頑張ろうと思った人には、普段から尿素配合のスキンケアを試してみるのもおすすめだ。尿素配合のクリームには、古く硬くなってしまった角質を柔らかくする効果がある。ブツブツを解消したいなら試してみる価値はあるだろう。
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