街歩きの達人・志歌寿ケイトさんに学ぶ! 「境界標観察」のススメ

公開日:2018年8月14日

街歩きの達人が語る、境界標の世界を探検してみよう!

通勤や通学、はたまた散歩で。毎日歩いている道でも、実は意外と知らないことが隠されている。「散策家」として活動する、街歩きの達人・志歌寿ケイトさんは、道端の何気ないものにも興味を持ち、その魅力に迫っている。

今回は、道端でよく見かける「境界標」について教えてもらった。

街歩きの達人・志歌寿ケイトさんに聞いた!「境界標」ってなに?

道を歩いている時、地面にこんな物体を見つけることがある。あるいは気づかずに躓いてしまう人もいるかもしれない。これっていったい…?

境界標の例

石みたいなものもあれば……

境界標の例

いわゆる「プレート」もある

「これらのようなコンクリート杭や金属プレートのことを『境界標』あるいは『境界石』『境界杭』などと呼びます。境界標は、土地の境界が折れる点や分岐する点に設置されています。ただし、すべての境界に置かれているわけではなく、過去に境界を確定した場所にしか存在しません。つまり『測量を行なってこの位置でお互いの境界を確定しました』という、大切な目印なのです」(志歌寿ケイトさん)

街歩きで発見!「境界標」の特徴を解説

境界標とは目に見えない境界点を現地で示す目印。道を歩いていて、誰でも発見できる「境界標」の特徴4つを解説しよう。

境界標の特徴①:日本中どこにでもある!

境界プレート

よくあるタイプの境界プレート 

古い境界標

古い境界標の例(帝国大学)

境界標観察の良いところはとにかく「日本中どこにでもある」という点。設置された時代や形状も意外とバリエーション豊かなのだ。

「散歩中はもちろん、日々の通勤通学、国内旅行で知らない土地に行った時など、少し境界標を意識してみると今まで見えなかったラインがぼんやり見えてくることでしょう。そして“なぜそこに境界があるのか”を考え始めるようになれば、あなたはもう立派な市街観察家です!」(志歌寿ケイトさん)

一箇所に固まっている境界標

一箇所に固まっている境界標

街でよく見かけるのは公共用地と民有地との境界(官民境界)を示す境界標だが、中には「河川と町道」や「国道と市道」など公共用地同士の敷地の境界を示すものもある。

境界標が何個も固まって埋め込まれていたならば、境界がガタガタとうねっているということ。日本はとにかく土地が細かく分かれているのと、まっすぐに区画された街は少ないため、膨大な境界標があり、新たに境界を確定するたびに日々設置され増え続けているそう。

境界標の特徴②:しばしば通行の邪魔になる!

壁を切り欠いてまで設置された境界標

壁を切り欠いてまで設置された境界標

傾き欠けてしまっている境界標

傾き欠けてしまっている境界標(防衛庁)

境界標は大切なものではあるが、多くが道沿いにあるため、しばしば通行の邪魔になってしまうという側面も。

靴やタイヤで踏まれて削れてしまったり、半分壁に埋もれていたり、あるいは境界標のために壁のほうを削ったりしている。設置から長い年月が経っていれば苔むしたりもしますし、土に打ち込まれたものなら傾いてしまうことも。

「境界標じたいは無機的なモノですが、『大切だけど邪魔でもある』という事情と状況を含めて観察すると、ちょっと愛着が湧いてくるのではないでしょうか」(志歌寿ケイトさん)

境界標の特徴③:古地図のロマンを体感できる!

山武市の境界標

合併で消滅した町の境界標(成東町→山武市)

戦前の境界標

戦前の境界標(陸軍省)

公共用地の境界標は市区町村・都道府県・省庁が設置している。境界標にその名称が刻まれていることが多く、マンホールなどと同じく写真に撮ってコレクションしていくのも楽しい。

中にはすでに合併でなくなってしまった市町村や省庁のもの、あるいは文字が旧字(つまり戦前)の杭まで見られることも。

「昔の地図を参考にレア境界標を探すのも一興ですよ」(志歌寿ケイトさん)

境界標の特徴④:たまにレアなものに出合える!

山梨中央銀行の境界標

企業名の境界標(山梨中央銀行)

京王電鉄の境界標

企業名の境界標(京王電鉄)

特殊なものとしては、企業名や個人名の入った境界標も存在する。デザインに細かい規定はない。

「企業名の境界標は鉄道敷地の周辺なら見つけやすいかと思いますので、車や電車に気をつけながら地面を観察してみてください。個人名の境界標は、少なくとも東京ではかなりレアだと思います」(志歌寿ケイトさん)

境界標観察で街歩きを楽しもう!

境界標の様々な観察例を志歌寿ケイトさんに教えてもらった。これから散歩をする際は、ぜひ興味を持って観察してみてほしい。レアな出合いで普段のお散歩が楽しくなっちゃうかも!?

「ちなみに、プラスチックやコンクリート製の一般的な境界杭はホームセンターの資材売場で扱っていることが多いですので、地面に埋め込まれる前の長さや重さが知りたい方はお買い物のついでに一度見てみてくださいね。」(志歌寿ケイトさん)

教えてくれたのは?

志歌寿 ケイト(しかすけいと)

散策家、地図制作者。東京23区の商店街をすべて踏破。独自の散策会「東京散歩革命」を主催。散策ガイド・ルート作成のほか架空地図の制作、メディア出演、講師、GIS業務などの分野で活動中。
オフィシャルサイト:http://shikasukeito.blogspot.com/
Twitter:https://twitter.com/shikasukeito

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CHINTAI編集部ライフスタイル担当
CHINTAI編集部ライフスタイル担当

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