サブカルの聖地・中野にある個性的な銭湯・天神湯、寿湯、昭和浴場、高砂湯を巡ってきた
サブカルの聖地・中野は銭湯まで個性的だった!
「この街に住んでみたいけど、家賃が高そう……」。誰しも1度はそんな経験をしたことがあるはず。しかし、とある条件を妥協することで家賃相場はガクっと下がる。それが「風呂・トイレ別」だ。
申し遅れました。私、家賃と銭湯の素敵な関係について日々考察しているライターの奈良崎コロスケです。
今回も家賃というハードルを銭湯サポートでクリアするため、人気タウンの調査へとやってまいりました。ターゲットは中央線の中野であります。漫画、アニメ、映画、アイドルにプロ仕様のAV機器や切手・古銭まで……。文字通りなんでもござれの中野ブロードウェイを主軸にして、さまざまなカルチャーの発信基地となっている中野。
中野サンプラザでは日々有名アーティストが公演を行い、数多ある小劇場では地下芸人たちが渾身のネタを披露している。
中央線快速で新宿から1駅、地下鉄(東京メトロ)東西線の始発駅と交通の便もすこぶる良く、北口も南口も商店街が充実。有名なカレー店が覇を競う激戦区としても有名である。
さらには近年の再開発で、駅からほど近い警察大学校の跡地が大学や企業の入った複合ビルと大きな公園(四季の森公園)に生まれ変わり、ますます暮らしやすさに磨きがかかってきた。
そんな楽しすぎて便利すぎるエンタメタウンだけに、駅周辺の家賃は少々お高めだ。
中野駅徒歩10分圏内且つ風呂・トイレ別という条件で家賃相場をチェックすると、家賃相場は8.50万円とのこと。
しかしこの中野、駅周辺に銭湯が充実しているのをご存じだろうか? 普段は自宅でシャワー、ゆっくり湯船につかりたい時は銭湯。このように割り切って考えれば、駅から徒歩10分圏内でもリーズナブルな物件がたくさん見つかるはず。
風呂・トイレ別にこだわらなければ、家賃相場は7.35万円までダウン! しかもこれはあくまで相場であり、もっと安い家賃で住める物件も多々あり。中野は風呂なしアパートだって、まだまだ健在だ。売れない漫画家や若手芸人、地下アイドルたちが多く住んでいるのも合点がいくよな~。
※間取り:1R・1K・1DK/CHINTAIネット調べ(2020年1月8日時点)
中野銭湯その① ザ・老舗!「天神湯」
昭和の面影を残すエリアには老舗の銭湯が2軒ある。まずは中野駅から一番近い銭湯「天神湯」へ。北口を出て東中野方面へ5分ほど歩くと到着する、路地裏の老舗銭湯だ。
外観は昔ながらの趣で、味わい深い造り。脱衣所のお庭には錦鯉が泳いでいる。浴槽は2つに仕切られ、大きいほうがジェット仕様。シンプルな風呂だが、高い天井を見上げながら、熱めの湯にゆったりとつかることができ、銭湯の醍醐味が味わえる。
【天神湯】
住所:中野区中野5-10-10
営業時間:15時45分~23時
定休日:毎週月曜日・木曜日(祭日と重なる場合は営業)
中野銭湯その② 使っていた地下水が温泉だった!?「寿湯」
続いてご紹介するのは、中野ブロードウェイを真っ直ぐ突き抜け、薬師あいロード商店街に入ってほどなくすると現れる「寿湯」。中野駅からは10分弱といったところだ。
この新井エリアは中野駅前の喧騒とは違い、のんびりとしたムードの漂う住宅地。薬師あいロード商店街は、新井薬師に続く参道なので、昭和の香りを残した煎餅屋さんや甘味処が元気に営業しており、休日はどこも年配客でにぎわっている。
そんなエリアにある「寿湯」の正式名称は「中野寿湯温泉」。昭和26年創業の老舗ではあるが、もともと使用していた地下水に温泉レベルのメタケイ酸が含まれていたことが判明し、2013年にリニューアルオープンした。
【寿湯】
住所:中野区新井1-14-13
営業時間:16時~25時30分
定休日:火曜日
外観はきれいになったが、なかに入れば天井の高いレトロな銭湯空間が広がり、実に気持ちが良い。ボディソープやシャンプーは据え置きなので、タオルのみの持参でもOK。
4つに仕切られた浴槽では、天然温泉、座風呂、寝風呂、ジャグジー、滝風呂、水風呂と多数のお風呂が楽しめる。サウナは追加料金(200円)が必要だが、水風呂には一般客も入れる。また、週3回は薬用風呂を実施している。清掃も行き届いているし、美肌成分たっぷりの天然温泉ということで、女性にも超オススメだ。
サブカルな北口とは一線を画すシャレオツな南口へ
お次は南口へ移動。実は最近の南口は、サブカル臭が強すぎる北口との差異化を図るべく、オシャレに寄っているのだ。その象徴が、駅横のガードをくぐってすぐに出現するレンガ坂。この一角に、これまでの中野にはなかったインスタ映えしそうなバーやレストランが密集している。
中野銭湯その③ マジック鑑賞もできちゃう!変り種銭湯「昭和浴場」
そんな南口にも、しっかり銭湯が残っている。中野駅から東高円寺方面に10分少々歩いた場所にある「昭和浴場」は、なんとプロのマジシャンであるご主人のタジマジックさんが、ロビーでマジックを披露してくれるという変わり種銭湯。テレビの情報番組などにも何度となく登場しているので、ご存じの方も多いだろう。
【昭和浴場】
住所:中野区中央5-21-12
営業時間:16時~25時30分(金曜日は27時まで)
定休日:毎週火曜日
5つに仕切られた浴槽では、さまざまな種類と温度のお湯を楽しむことができる。やや熱めの座風呂、寝風呂、備長炭風呂、ややぬるめの泡風呂、電気風呂。天然の井戸水を使った水風呂も気持ちがいい。サウナは別料金だが100円と激安である。
また通常は深夜1時半までの営業だが、金曜日はなんと深夜3時まで! フライデーナイトに遊び過ぎちゃった時も、広い銭湯でひとっ風呂浴びて帰れるなんて、幸せじゃありませんか。
中野銭湯その④ 露天風呂アリ!「高砂湯」
さて、南口にはもう1軒老舗の銭湯が。昭和浴場とは反対側のエリア、新中野方面の住宅街にある「高砂湯」だ。
広々とした浴槽ではジェット風呂や電気風呂、バイブラバスを楽しめるが、特筆すべきは露天風呂! もちろん、そこまで広い風呂ではないが、空を見上げながら、ゆっくりつかれば日頃のストレスがぶっ飛ぶこと請け合い。しかもこの露店風呂、日替わりで薬湯が楽しめちゃうのだ。入浴料460円の銭湯ですよ? 追加料金400円でサウナも楽しめるし、ここは天国でしょうか?
リンスインシャンプーとボディソープも常備されているので、タオル1枚で気軽に立ち寄れるのもうれしい。
【高砂湯】
住所:東京都中野区中央4ー49ー2
営業時間:15時~0時30分
定休日:毎週月曜日
今回の調査で中野駅の周辺には東西南北各エリアにしっかりと銭湯が現存し、地元の住民たちに愛され、根付いていることがわかった。錦鯉の泳ぐ老舗に天然温泉、マジックショーから露店風呂まで。住人のみならず銭湯まで個性の強すぎる中野。最高すぎます。
日本屈指のサブカルタウンにあこがれているそこのアナタ!ここまで充実の銭湯ライフを送れるエリアを「家賃が高い」という理由だけで敬遠したら、もったいないお化けが出ますよ!
文・写真=奈良崎コロスケ
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