この街に住んでみたい!映画に出てきたステキな街3選
ドラマや映画を観て、「こんな街に住みたい!」と思ったこと、一度はあるのでは? 今回は東京近郊が舞台で、その街の魅力が存分に描かれている映画をピックアップしてみた。
『グーグーだって猫である』/吉祥寺
▼概要
少女漫画家の大島弓子が、愛猫との暮らしを綴ったエッセイコミックの実写映画化。小泉今日子が扮する漫画家の麻子はある日、愛猫のサバを失ったショックでマンガが描けなくなってしまう。そんな時、アメリカンショートヘアーの猫・グーグーと出会い、ゆっくりと心が癒やされていく。
▼オススメポイント
本作の舞台は、常に「住みたい街ランキング」で上位にランクインする吉祥寺。その魅力は、最先端のショッピングエリアであると同時に、ちょっと中心街を離れれば住宅地が広がっていて、利便性と環境のバランスがいいところ。
吉祥寺でロケを行った本作には、春になると桜の名所となる井の頭公園、昼から飲める老舗の焼鳥屋「いせや(公園店)」、メンチカツ目当ての行列ができる「さとう」、麻子が打ち合わせをする井の頭公園内にある「pepacafe FOREST」など、吉祥寺のランドマークがいくつも登場する。2008年の撮影から8年が過ぎた今、いせやはきれいに改装され、冒頭の映像に映しだされた駅ビル「吉祥寺ロンロン」は「アトレ吉祥寺」になっている。昔の吉祥寺を知る人にはちょっと寂しい気もするが、この鮮度と感度が多くの人を惹きつける。
『まほろ駅前多田便利軒』/町田
▼概要
原作は、第135回直木賞を受賞した三浦しをんの同名小説。まほろ駅前で多田(瑛太)が営む便利屋に、中学時代の同級生・行天(松田龍平)が転がり込む。まほろに暮らす人々の依頼を請け負ううちに、2人はある事件に巻き込まれ……。
▼オススメポイント
「まほろ」は架空の地名だが、三浦しをんが暮らしていた町田市が舞台で、映画もそこで撮影された。JR横浜線と小田急線が乗り入れる町田駅周辺は商業ビルが林立し、生活に必要なものはすべて用立てられる。その一方で、路地には昔からの個人商店もひしめいていて、底知れなさを漂わせるディープな街でもある。
銭湯やなんてことない路上での立ち話、病院の屋上、駅前のロータリーなど、日常的な光景の中での多田と行天(と依頼人)のやりとりが繰り広げられる本作を観ていると、いつの間にか自分もまほろ(町田)の住人になっているかのような錯覚に。映画冒頭の「まほろに生まれた人は、まほろを出ていかない。まれにまほろを出た人も、いずれまほろに舞い戻る」という多田のモノローグに、妙に納得してしまう不思議な吸引力のある街だ。
『海街diary』/極楽寺
▼概要
是枝裕和監督の『海街diary』。原作は、吉田秋生の同名コミックだ。鎌倉で古い一軒家に暮らす三姉妹が、15年前に家を出た父親とほかの女性との間に生まれた中学生の四女を引き取り、いくつかの生と死を経て、家族の絆を築いていく一年間を描く。
▼オススメポイント
本作の魅力は、舞台となった鎌倉の風景の四季が織りなす映像美にある。彼女たちの家は、江ノ島電鉄の極楽寺駅が最寄り駅。四姉妹は父親の葬式後には七里ヶ浜を喪服で歩く。長女の幸(綾瀬はるか)は稲村ヶ崎で恋人との関係にある決着をつける。二女の佳乃(長澤まさみ)は海の見えるカフェでボーイフレンドとデートをしたり、材木屋で上司とシリアスな会話をしたりする。生活のなかに、当たり前のように海がある彼女たちの暮らしに憧れずにはいられない。
風光明媚な観光地や海岸、名所だけでなく、姉妹がずっとお世話になっている大衆食堂や、三女(夏帆)が働くスポーツ用品店など、生活感のあるスポットも登場。なかでも鮮烈に脳裏に焼き付くのは、四女(広瀬すず)のすずが彼女に恋する同級生の男子と一緒に、御霊神社の桜並木を自転車二人乗りで走るシーン。一人だとちょっと寂しいけれど、大切な人や、家族と一緒だったらずっとここで暮らしたい。そう思わせる街が鎌倉だ。
見知らぬ街への引越しを思案中の方は、ぜひ参考にしてみては?
(須永貴子+ノオト)