もうすぐ終了! 団地で実験中の「ヤギ除草」、その効果は?
環境への取り組みが広がる昨今。企業や行政がさまざまな取り組みを行う中で、今年9月、ひと際ユニークな手法を実践して注目を集めたのが、独立行政法人都市再生機構(UR)による「ヤギ除草」だ。実験開始から3カ月が経とうとしているが、その効果は……?
まずはヤギ除草について
「ヤギ除草」はその名の通り、「ヤギに雑草を食べさせて除草させよう」というもの。URが管理する町田山崎団地(東京・町田市)で実証実験が行われている。ヤギに草を食べてもらえば、草刈り機は不要となり、草を処理施設で焼却する必要もなくなることから、二酸化炭素の排出量が減らせる、という触れ込みである。
どうやって管理しているのか?
クズやススキが生い茂る管理用地の一区画を微弱の電流が流れる柵で囲う。そこにヤギが体を休めるための小屋を建て、4頭を放し飼いに。健康チェックは三日に一度、ヤギを用いた除草管理システムを提供する横浜市内の業者が行う。監視カメラを設置し、人は常駐しない。
ヤギが一区画の草を食べ尽くしたら、別の場所に区画を設けて、移動しながらローテーションしていく。管理用地は全体で約5000平方メートル。実験開始当初に設定した約300平方メートルの区画の草は、4頭のヤギが10日でほとんど食べ尽くしたという。
コミュニティに溶け込むヤギ
三日に一度の健康チェック以外、基本的にはほったらかし状態のヤギだが、そんなヤギの様子を気にかける地域住民は少なくないよう。足を止めて「除草中」の様子を観察したり、声をかけたりといった光景はしばしば見られるそうだ。「イベントなどを通じても、地域にヤギとのコミュニケーションが育ちつつある。さまざまな要素を検証し、他の管理用地での活用も考えていきたい」(UR担当者)。
「効果」を実感するほどにはまだ遠いのかもしれないが、新たな取り組みからコミュニティ活性化につながる兆しが生まれているのは歓迎すべきところ。実証実験は2013年11月29日でひとまず終了する。地域にコミュニケーションを育む「ヤギ除草」のこれからに期待だ。
(根岸達朗+ノオト)