リラックス作用に抗菌効果……畳の部屋のメリットって?

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畳の部屋ってちょっと古いイメージがあるし、フローリングの方がお洒落で暮らしやすそう……。物件探しのとき、ついついそんなことを考えがちではないだろうか。

一家に一部屋、かならずあった和室が減ってきている?

一家に一部屋、かならずあった和室が減ってきている?

確かに、築年数の古い物件では畳の部屋も見かけるが、築浅になると畳の部屋そのものがないケースも多い。やはり、畳の部屋は減ってきているのだろうか? 約15年間畳について研究している北九州市立大学国際環境工学部環境生命工学科の森田洋准教授にお話を伺った。

「生活様式が欧米化するとともに、日本人が畳の必要性を感じる感覚は薄れてきているでしょう。最近は小住宅化に伴い、フローリングが主流になり、畳の部屋のない物件も増えてきています。」

調べてみると、畳の全国生産量は2003年からの10年間で、7860万枚から3320万枚と大幅に減少している(農林水産省データより)。住居の西洋化が進むに連れ、畳の需要はどんどん減ってきているようだ。ここで素朴な疑問だが、そもそも畳はいつごろから日本人の生活に普及したのだろう。

「原材料のいぐさの歴史は古く、奈良時代にインドからシルクロードを通って日本へ入ってきました。いぐさは薬草として使われていたのですが、日本の住環境において床材としての役割をもつようになったと考えられています。室町・鎌倉時代には、現在と同じように部屋の床一面に敷かれるようになりました。当時の畳は、貴族の屋敷に使われる高級品。庶民の暮らしに浸透したのは江戸時代中期~後期です。家財道具のひとつとされ、引越しの際には箪笥などと一緒に持ち運ばれるようになりました」

畳に歴史あり。森田さんによると、そもそも薬だったいぐさを床材に使用したことで、日本人の生活にさまざまな恩恵をもたらしたという。

「畳には、優れた効能がたくさんあります。まずはリラックス効果。いぐさにはフィトンチッドという樹木と同じ香り成分が含まれており、部屋にいながら森林浴の効果が得られます。次に抗菌効果。畳は天然の抗菌素材です。足のにおいの元になる微生物や水虫の原因菌の繁殖を抑え、人から人への感染をある程度防ぐことができるのです」

確かに、畳の部屋でゴロゴロしていると、リラックスできる気がする。日本人はやっぱり畳だよな~と思うことは、誰にでも少なからずあるだろう。

「さらに、部屋の温度や湿度を快適に保つ吸放湿機能も見逃せません。夏場の和室は涼しく感じられませんか? 実はこれ、畳が湿気を吸ってくれているからなのです。逆に冬は水分を放出するので、お部屋を暖かく保ってくれます。畳は、日本の高温多湿の風土には最適な素材なのです。あともう1つ注目したいのは、畳のもつスポンジのような特性。集合住宅では隣室への音漏れが気になると思いますが、反響するフローリング床に比べて畳は音の伝わりをグッと抑えます。また、お年寄りやお子さんが転んでも、畳の柔らかさがクッションとなり、ケガの度合いを軽減してくれるのです」

改めて知った畳の効能。フローリングのメリットもいろいろ考えられるが、あえて昔ながらの畳の生活を選択するメリットも十分にありそうだ。

(波多野友子+ノオト)

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