東京でも見つかる!古民家暮らしのメリット・注意点と物件の探し方

公開日:2014年1月7日

古民家とは、どんな物件のこと?東京でも住めるの?

東京の古民家物件のイメージ図
古民家ってどんな物件?

古民家再生は近年注目を集めるトピックの1つ。事業所や住まいとしての活用を検討している人も多いだろう。そもそも古民家とは長い築年数が経過した民家のことを指すが、実ははっきりとした定義があるわけではない。目安として築年数50年以上の民家のことを「古民家」と呼んでいる場合が多いようだ。

この条件に加えて、「伝統的な木造軸組工法で造られている」「太い梁と柱を持つ」「茅葺屋根や日本瓦葺き屋根で造られている」といった条件が付けくわえられることもある。農村民家、町村民家、庄屋屋敷などバリエーションが豊かなことも古民家の魅力と言えるだろう。

一方で市場に出回る物件が少なく、探しにくいのも現実。古民家の購入や賃貸を考えるとき、まずどのようにアプローチするのがいいのだろうか?今回は、東京で古民家を見つける方法のほか、古民家に住むメリットや注意点について詳しく解説していく。

東京で古民家に住む4つのメリット

まずは東京で古民家に住むメリットを4つお伝えしよう。古民家に住むとどんなメリットを感じられるのか、通常の物件と比べて何が違うのかを解説する。

東京で古民家に住むメリット①広々とした間取りであることが多い

古民家は敷地面積が広く取られている場合が多い。部屋数も多く、4LDK以上といった東京都内では見つけにくい間取りの民家も比較的見つけやすい。家族だけで過ごす空間と、来客用の空間を明確に区分けできることも古民家ならではの特徴だ。

襖によって仕切られている部屋があるならば、これを取り払うだけで広いリビングを作ることもできる。広い部屋を設けるにも、部屋数を細かく分けるにも自由が利きやすい。将来的に家族の人数が変わったとしても、大がかりなリフォームなしで快適に住むことができるのだ。

東京で古民家に住むメリット②基本的に木造で、落ち着く空間になっている

古民家は築50年以上の民家が基本ということもあり、その多くが木造である。心にしみる外観や独特の木の香りを感じることにより、落ち着いて過ごせることもメリットだ。旅館で過ごすような非日常感を味わえることも、古民家が多くの人を惹きつける要因となっている。

東京で古民家に住むメリット③夏は涼しく快適に過ごせる

木造には、夏を涼しく過ごしやすいというメリットがある。特に茅葺屋根や瓦屋根には、熱を遮断する効果があり、直射日光が差し込みにくいように庇が長い構造で造られた古民家も多い。エアコンがまだ一般的でない時代に設計されているため、夏を快適に過ごせる構造になっているのだ。

ただし、冬は冷え込みやすいという欠点を抱えている。寒さが苦手な方は、暖房器具の設置をするなどの工夫が必要になるだろう。

東京で古民家に住むメリット④賃料・購入費が相場より安め

近代建築とは異なる独特な趣を持つ古民家だが、裏を返せば「古い家」でもある。一般的に住宅は新しければ新しいほど評価されるうえに、万人受けもしやすい。

そのため、賃料・購入費が相場より安くなりがちになることもメリットだ。限られた予算の中でも、より理想に近い物件を見つけやすいだろう。

東京で古民家に住む際の4つの注意点

ここまで古民家のメリットをご紹介してきたが、「冬の寒さ」のようなデメリットを抱えていることも確かだ。ここでは、古民家を購入する前に知っておくべき4つの注意点に触れる。古民家の欠点も正しく理解したうえで購入を検討しよう。

東京で古民家に住む際の注意点①部屋が温まりにくいため冬は寒い

夏は涼しく暮らせるというメリットがある反面、部屋が温まりにくく冬場に冷え込みやすいという欠点がある。エアコンが普及していない時代に建てられた古民家の場合、通気性を重視した設計で造られていることが多く、どうしても断熱性が低くなってしまう。

こういった物件で快適に過ごすためには、エアコンを効きやすくさせるためにリフォームを実施しなければならない。そうなれば、相場よりも安く購入できたとしても、工事費などの出費がかさむことによって、むしろ割高になる危険性も出てくる。

東京で古民家に住む際の注意点②耐震性・耐久性が低い可能性がある

古民家を築50年以前の設計と想定すると、1981年の改正よりも前の旧耐震で造られた物件ということになる。必然的に現在の新耐震基準を満たさない物件となり、耐震性・耐久性が劣ることにも注意すべきだ。大きな震災に備えたリフォームは必須と言えるだろう。

東京で古民家に住む際の注意点③セキュリティーが甘い可能性がある

東京都内ということもあり、特に地方からの引越しを検討している人はセキュリティー面が心配ではないだろうか。東京のマンションにはオートロックや二重ロックといった防犯設備が設置されていることが多いが、古民家にはそのような設備がない場合が多い。

戸建ての場合は勝手口が用意されていたり、窓が大きく取られていたりするなど、近代的な防犯という概念を持たない物件が目立つため、セキュリティーの甘さには要注意だ。購入する場合、必要に応じたリフォーム・リノベーションを実施すべきだろう。

東京で古民家に住む際の注意点④虫が発生しやすい

虫の多さも、苦手な人にとっては懸念すべき注意点になる。害虫対策に力を入れるべきだが、特に注意しておきたいのはシロアリの被害だ。築年数が経過した木造住宅の場合、すでにシロアリが発生している可能性もあるため、念のため専門業者に相談するようにしよう。

東京でも見つかる!?古民家を探す3つの方法

東京にある古民家の庭1
東京で古民家を探す3つの方法をご紹介

古民家について興味を持つと、次に気になるのは「いかにして東京で物件を見つけるか」ということだろう。地方都市と比較すれば、東京都内で古い物件を見つけることは確かに難しい。しかし東京でも優れた古民家を見つけることは可能なので、そのためのコツを3つお伝えしよう。

東京で古民家を探す方法①協会サイトを利用する

全国各地の古民家情報には、前述の両協会がネットワークに強みを持っている。どちらの協会も古民家のコンディションを有資格者が評価する「古民家鑑定」を推奨しており、同鑑定を受けた物件の一部は、「住まい教育推進協会」が運営する「民家ねっと」で閲覧可能だ。地域に偏りはあるものの、ここでしか公開されない情報も多いので、細目にチェックしておくといいだろう。

東京で古民家を探す方法②物件情報サイト、不動産業者を利用する

協会サイトに公開されている物件は鑑定書付きだが、一般的な物件であれば、各物件情報サイトでも検索可能だ。「古民家鑑定」が定義する古民家は築50年以上のものなので、築年数を見ながら探すと良いだろう。不動産業者にも少なからず持ち駒があるので、エリアと条件を定めたら、ローラー作戦で地元の業者を当たってみるのもいいだろう。

東京で古民家を探す方法③自分の足で探す

東京都内に限れば、下町や多摩エリアにはまだ多くの古民家が残っていると言われる。街を歩いて自分のアンテナに引っかかる古民家が見つかったら、思い切って直接家主に交渉してみるのも手だ。

登記簿などを確認しなければ家主が分からないケースもあるが、所在が明らかで、その用途にも理解が得られるのであれば、古民家を有意義に活用してもらいたいと考える所有者もいるだろう。取引に発展する可能性は十分にあるのだ。

何かの縁で条件の良い古民家に出会えたとしても、築年数が経っていれば、目に見えないところにガタが来ているのは当たり前。もし、本気で利用を考えるのであれば、客観的な指標としての「古民家鑑定」も参考にしつつ、古民家という名の「骨董品」を手に入れることのメリットとデメリットを頭の中で整理しておきたい。

東京で古民家暮らしを楽しもう!

東京にある古民家の庭2
東京で古民家を探してみよう

古民家とは、一般的には築50年程度が経過した物件のことを指し、広々としながらも落ち着いた空間で過ごすことができる。また、夏は涼しい、賃料・購入費が相場より安いというメリットもある。ただし、耐久性・耐震性に乏しく、冬場は冷え込むことも多いので、リフォームが必要になることを頭に入れておくと良いだろう。

新築・築浅の物件が多い東京都内でも古民家を見つけることはできる。協会サイトや物件情報サイト、不動産業者を利用し、状況に応じて自分の足でも探してみよう。きっと、東京でも趣のある古民家暮らしを楽しめるはずだ。

(根岸達朗+ノオト)
2021年7月加筆=CHINTAI情報局編集部

<関連リンク>
▼民家ネット
http://www.kominka.net/
▼古民家再生協会東京
http://www.kominka-tokyo.org/

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